保険あれこれ

リスクから身を守る、自動車保険のキホンと豆知識

特に地方では、毎日の生活に欠かせない自動車。

便利な反面、かかるコストと、事故などのリスクは避けられません。

お金の面でしっかり身を守るための「自動車保険」ついてまとめました。

自動車保険とは

自動車保険は、車の運転に関わる様々なリスクに備えるための保険です。

車を運転する私たち自身と、もし事故を起こしてしまった時には相手の人や車を、お金の面で守るためのものですね。

事故はいつどこで起こるかわからないもの。そして、もしもの事故による人身やモノへの責任は、とても高額になることが多いです。

自動車保険の主な役割は、そんな突然の損害から、経済的にあなたを守ることにあります。

自動車保険の基本補償

自動車保険は、大きく「対人賠償」「対物賠償」「人身傷害」の3つの補償が基本になります。

対人賠償

自分が運転する車で、他の人にケガをさせてしまった時、「相手の人」のケガの治療費や休業補償などを保険がカバーします。

つまり、誤って他の人を傷つけてしまった場合に、自動車保険がその費用を補ってくれるというわけです。

対物賠償

自分が運転している車で、他の車や建物などの「モノ」に損害を与えてしまった場合、その修理費などを保険がカバーします。

たとえば、駐車中に隣の車にぶつけてしまった、などですね。

人身傷害

運転手や同乗者がケガをした時のための保険です。

ケガの治療費やリハビリ費用、入院が長引いて収入が減ってしまったときの補償など、身体のケアと生活に関するコストをカバーしてくれます。

たとえば、あなたが運転していて、他の車と衝突してしまったとします。

この事故で、あなたが腕を骨折し、同乗していた友人もケガをしてしまいました。この場合、自分の治療費やリハビリ費用、そして友人の治療費も人身傷害補償によりカバーされます。

さらに、骨折がひどくて長期間働けなくなったとき、収入が減ってしまうかもしれません。

その場合は休業補償として、一定の期間、損失を補償してくれます。

搭乗者傷害保険との違い

搭乗者傷害は、自分が運転する車(契約自動車)に乗っている人が事故でケガをした時に、その治療費などを定額で補償する保険です。

人身傷害と少し似ていますが、補償の内容(支払時期や金額)が異なります。

人身傷害搭乗者傷害
実際にかかった費用や損害の補償のため、保険金が支払われるまでに時間がかかる死亡保険金、医療保険金などが、あらかじめ設定された定額で支払われる(スピーディ)

車両保険について

車両保険は、自分の車が事故で損傷した場合の「修理費用」を補償する保険です。

たとえば、駐車場で別の車にぶつけられ、あなたの車に大きな傷がついてしまった場合、その修理費用を車両保険が補償します。

また、自分の運転ミスでガードレールにぶつけてしまったような場合も補償対象になります。

車両保険の自己負担額

車両保険には、自己負担額を設定することができます。

車が損傷した場合、一定の金額(免責金額)までは契約者自身が自腹で支払い、それを超える部分を保険会社が補償するというしくみです。

免責金額5万円の場合

事故により、車の修理費用が20万円かかるとしましょう。

この場合、免責金額である5万円はあなた自身が負担し、残りの15万円を保険会社が補償します。

免責金額を高く設定すると、保険会社が補償するリスクが低くなるため、保険料は下がります。

ただし、その分、事故で修理が必要になった時の自己負担額は増えることになります。

また、免責金額が高いと、小さな事故は補償対象にならず、全額自己負担となることもあります。

車両保険のメリット
  • 修理費用が補償されるため、突発的な出費を抑えられる
  • 相手がわからない当て逃げや、自分だけの単独事故でも適用される
車両保険のデメリット
  • 保険料が高くなる
  • 保険で補償されると、翌年以降の保険料がさらに高くなる可能性大

せっかく車両保険に加入していても、翌年以降の保険料アップを避けるために、保険を使わずに自己負担で修理するケースも少なくありません。

ただ、そうなると「何のための保険?」とも思えてしまう、車両保険は使いどころが難しい保険ともいえます。

車両保険は「車の修理」が目的ですから、もしもの時に、一定の修理費用を自己資金で支払うことができるかどうか、ここが選択のポイントになります。

突発的な費用を支払うのは、心理的には痛く感じるものですが、スムーズに自己負担できる金額であれば、車両保険に加入する必要性は高くないと考える方が合理的です。

保険は、いつ起こるかわからない不測の事態に備えるもので、かつ、起きてしまったら自分の収入・蓄えだけではどうにもならないような大損害を被ってしまう、そんな場合に限って活用することを意識しましょう。

車を持つのであれば、購入資金以外のお金を一定額確保し、いつでも不測の事態に対応できる状態であることが、車両保険に悩まずに済む最良の策と思います。

つけておきたい特約

自動車保険には追加で付帯できる様々なオプションがありますが、特につけておいた方が良いものをあげてみました。

弁護士費用等補償特約

自動車事故に関する法的なトラブル・手続きを弁護士に依頼する場合、その費用を一定額まで補償する特約です。

たとえば、あなたにほとんど過失がないと思われるような、いわゆる「もらい事故」の場合、相手方との交渉は保険会社を通さず、あなた自身で行わなければなりません。

(保険会社を通じての示談交渉は、自分にも一定の過失があると認めることが前提となるため)

相手から適切な賠償を得られない場合や、逆に不当な請求を受けている場合など、弁護士の力を借りる時には、弁護士費用特約によって保険会社がその費用を補償します。

個人賠償責任特約

自動車以外で、誤って人やモノに損害を与えてしまった場合に、この特約で賠償金がカバーされます。

たとえば、公園でフリスビーをしていて、誤って人に当ててケガをさせてしまったとか、子供がお友達の家に遊びに行って、壁に穴をあけてしまったとか。

中でも、自転車の事故などはかなり深刻です。

自転車で走行中、歩行者に衝突し、その人が転倒して大ケガをしたといったケースでは、治療費、リハビリ費用、逸失利益(ケガで働けなくなったための収入減少分)、精神的苦痛などを補償する賠償責任があなたに発生します。

金額は、ケガの程度や経過によって異なりますが、軽いケガであっても100万円を超えることがあり、重篤なケガになると数千万円、場合によっては1億円を超えることもあります。

こうした個人ではとても賠償しきれない事態には、保険が重要な役割を果たします。

自動車保険でなくとも、火災保険や学校の損害保険などに付帯されているものでもOKですので、ぜひ個人賠償責任特約には加入しておきましょう。

まとめ

車は、購入時だけでなく維持するのにもコストがかかります。

その上、事故のリスクは誰しも避けられず、もしもの場合には非常に高額な賠償責任を負うケースもあります。

逆に、「対人・対物・人身傷害」以外の保障は、自己負担できる範囲であることも多いでしょう。

自動車保険を選ぶ時は、絶対に保険でなければいけないケース(=自分だけでは到底無理な大ダメージ)の優先順位をはっきりさせて、それ以外は自己資金で割り切る考え方をおすすめします。

まさかに備える自動車保険 更新時は見直しのチャンス! 車を運転する人は必ず自賠責保険に加入しますが、これ以外に任意の自動車保険に入っている方も多いでしょう。 あなたはどんな内容の保険...