公的制度・税金

マイナ保険証の用意はできた?4月から医療機関・薬局で導入義務化

2023年4月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」が本格的に始まります。

マイナンバー制度は2015年10月に始まりましたが、これまであまり使うことがなかったかもしれません。

保険証としての利用を皮切りに、これからはマイナンバーカードの利用機会がぐんと増えてきそうです。

義務化対象施設のうち、運用が開始されている医療機関・薬局は、全体で72.3%、規模が小さい診療所等は約60%の状況です。(2023年4月2日時点)
利用できる施設は厚生労働省のHPに掲載されています。

マイナンバー制度とは

マイナンバーは、住民票がある国民全員に(1人に1つずつ)割り振られている、12桁の番号です。

マイナンバー「カード」が手元になくても、マイナンバー自体は既に持っていることになります。

以前は、公的な証明書が必要な場合は、市町村役場、税務署、社会保険事務所などで別々に入手しなければなりませんでしたね。

制度導入後は、複数の機関が管理する個人情報がマイナンバーで紐付けされ、国や地方公共団体の間で連携できることで、面倒な手続きが少し簡単になりました。

マイナンバーカードは、公的な本人確認書類としても利用できるICチップ入りのカードです。

取得には本人の申請が必要で、申請から受け取るまでに1ヶ月ほどかかります。

これから出番が多くなりますので、まだの方は早めに申請をしましょう。

マイナカードの安全性

マイナンバーカードについては、「安全なの?」「持ち歩いて落したら?」「個人の資産や身体に関わる情報を国に監視される?」といった不安の声も聞こえてきます。

そもそもマイナンバー制度は、個人情報を一ヶ所に集めて管理するものではありません

手続きを行う行政職員だけが、その手続きに必要な情報に限ってアクセスが許されています。

また、行政機関間で情報のやり取りがあった場合は、マイナポータル(政府が運営するオンラインサービス)から、すべてのやり取りを確認することができます。

次のような対策からも、情報が芋づる式に漏れるかも?!といったことは過度に心配しなくても大丈夫でしょう。

  1. 利用範囲の限定(個人番号をコピー・保管できるのは、行政機関や雇用主等、法令で決められた事業者に限定。それ以外の人が、個人番号を収集したり、コピーしておくことはできない)
  2. 紛失時の一時停止(24時間365日のコールセンターに電話連絡すると、カードが一時停止され、第三者によるなりすまし利用を防止)
  3. 顔写真で本人確認(顔写真付のため、紛失したり、個人番号を見られても、悪用はできないしくみ)
  4. カードの技術(複雑な彩紋パターンを施してあり、カード自体の偽造が困難)
  5. ICチップ(ICチップには必要最小限の情報のみ記録され、税金や年金など、プライバシー性の高い情報は記録されない)
  6. 利用には暗証番号が必要(電子証明書、アプリごとの暗証番号がないと利用できず、一定回数間違えるとロックされるしくみ)

マイナ保険証で便利になること

2023年4月から、すべての医療機関・薬局において、マイナンバーカード1枚で受診できるようになる予定です。

顔認証で受付がスムーズに

顔認証で本人確認と保険資格の確認が一度にできるため、保険証を提示するための対人の受付が不要になります。

過去の薬や健診結果に基づく診療

医療機関・薬局が、患者さんの特定健診(メタボ健診)情報、薬剤情報を閲覧することができます。

  • ドクターや薬剤師さんに口頭で説明する必要がない
  • 過去のデータを見たうえで診察・処方してもらえるため、より良い医療が受けられる。

特定健診:令和2年度以降に実施したものから5年分

薬剤情報:令和3年9月以降に診療したものから3年分

限度額以上の支払いが不要

窓口での支払いが高額になる場合、高額療養費制度によって、一定の限度額を超えた分は払い戻しを受けることができます。(以前からある制度です)

マイナ保険証を利用できる医療機関では、限度額適用認定証がなくても、限度額を超える支払いは免除されます。

確定申告が楽になる

年間の医療費が高額になり、医療費控除を受ける場合、マイナポータルで医療費通知情報を管理できます。(領収書の管理が不要!)

確定申告自体も、マイナポータルからe-Tax(電子納税システム)に情報連携でき、オンラインで完結します。

マイナ保険証の気になること

新しい制度で、本当に大丈夫なものか、何となく不安が残る部分があるかもしれませんが、セキュリティ面では厳重な対策がとられています。

ただ、概ね安全とはいえ、お財布やクレジットカードと同じように大切に扱いましょう。

従来の保険証よりも診療報酬が高くなる?

マイナ保険証を利用した場合の窓口負担額は、2022年10月に改正されました。

従来の保険証マイナ保険証
初診料 12円初診料 6円

改正前は、マイナ保険証を使える医療機関も少なく、従来の保険証よりも診療報酬が高くなっていましたが、現在はマイナ保険証を利用すると費用が余計にかかることはなくなりました

マイナカードを申請していない場合は?

マイナンバーカードの取得は任意ですので、カードを持っていない方は、従来の保険証でも今までと変わりなく保険診療を受けることができます

マイナカードをなくした場合は?

紛失したら「マイナンバー総合フリーダイヤル」にまずは電話!マイナンバーカードの利用を一時停止してもらいます。

再発行する場合、現在は受け取りまでに1~2ヶ月ほどかかりますが、今後は10日程度に短縮される見込みです。

※ 再度交付されるまでの間、手元にマイナンバーカードがない状態で病院を受診する場合の手続きは、詳細がわかり次第更新します。(2023年1月現在、関係府省と調整中)

(2月17日の政府中間とりまとめより抜粋)

  • 申請から最短5日で取得可能になる予定(カードをなくした人、新生児、海外からの転入者などが対象)
  • マイナ保険証を持たない人には、1年間有効の「資格確認書」を無料発行
  • 1歳未満は顔写真不要
  • 本人以外の代理人にカード交付を認めるケース拡充

(2024年秋までに順次対応予定)

マイナカードは持ち歩いても大丈夫?

クレジットカードやキャッシュカードと同様、なくさないように気をつけること前提で、持ち歩いて使って大丈夫です。

カードに記載されている「個人番号だけ」とか、「名前と個人番号だけ」では、情報を引き出すことはできません。

実際にマイナンバーを使う場面では、顔写真での本人確認、暗証番号、ICチップによる電子証明書等を利用するので、個人番号自体は使われないしくみです。

マイナカードの今とこれから

マイナンバーカードの利用範囲はじわっと広がっています。

今できること
  • 本人確認書類になる(ライブ会場の入場、携帯電話の契約、会員登録などで利用可能)
  • コンビニで各種証明書が取得できる(住民票の写しや課税証明書など)
  • 健康保険証として使える
  • 給付金などの受取り(公金受取口座を登録することで給付金の受取がスムーズになる)
  • マイナポイントがもらえる(マイナンバーカードの取得、健康保険証利用の申込、公金受取口座の登録で、キャッシュレス決済で使えるポイントが付与される)
  • 新型コロナワクチン接種証明書
  • 年金や子育てなどに関する手続
今後のスケジュール
  • 引越しワンストップサービス(オンライン転出届:2023年2月6日開始予定)
  • パスポートの更新申請(2023年3月開始予定)
  • 運転免許証として利用(2024年度中開始予定)
  • 在留カードとして利用(2025年度中開始予定)

日頃ばんばん使うモノではないので、使い道よりも「マイナポイントがもらえる」ことが一人歩きしている感がありますが、あらためて何が変わるかを見てみると、だいぶ便利になりますね。

その昔、ぺらっとした紙だった保険証が、プラスチックのカードを経て、今はいろんな情報につながる鍵になる、身近なDXを感じます。時代は変わったな、とついしみじみ。

P.S. マイナポイントをもらうためのナンバーカード申請期限は2023年2月末です。
期限が延長されたことによって、マイナポイントの申込期限も延長される予定ですが、せっかくなので期限内に忘れずに申し込みましょう。

マイナポイントの申込み終了日は、2023年5月末まで延長されました。