一人の女性が、生涯に産む子供の数の平均(合計特殊出生率)が年々下がっています。
日本では2022年で1.26人。お隣りの韓国はより深刻で0.78人。
コロナの影響で結婚する人が減少したことも、深刻な状態に拍車をかけたようです。
少子化の勢いを少しでも止めるべく、子どもを望む世代が利用できる制度や給付金が拡充されています。
2023年4月以降、新たに利用できるものも含め、ざっと内容をまとめました。
出産までにもらえるお金
妊娠から出産、産休の間は、自治体や加入している健康保険から給付金を受けることができます。
妊婦健診費用
妊娠週数によって、4週間~2週間おきに、出産間近になると週1回で合計14回ほどの妊婦健診を受けることができます。
妊婦健診は自費診療となるため、健康保険は適用されません。
妊婦健診費用は、1回あたり5000円~1万円くらいですが、自治体から発行される補助券等で、費用の大半を賄うことができます。
妊娠中に何らか症状が出た場合(貧血、糖尿病、入院が必要なくらいひどいつわり等)、その検査や治療は保険扱いとなります。
出産育児一時金
加入している健康保険から出産育児一時金が支給されます。
2023年4月から支給額が引き上げられ、子ども1人につき50万円になりました。(双子以上の場合、50万円×子どもの数分を支給)
ただし、出産する病院が産科医療補償制度*に加入していない場合、支給額は40.8万円となります。
出産する医療機関によって申請方法が異なりますが、どちらも、医療機関の窓口で高額な分娩費用を支払う必要がなく、出産育児一時金を超える部分のみ支払えば良い制度です。
直接支払制度
出産前に病院で手続きをすると、健康保険から直接、病院に支払われます。
受取代理制度
直接支払制度を利用していない病院(予め厚生労働省に認可された、取扱分娩数が少ない医療機関)が対象になります。
病院で医師の証明をもらい、自分で健康保険に申請をします。
分娩費用が50万円未満だった場合、その差額は被保険者が受け取ることができます。(健康保険に申請が必要)
流産等で生まれてくることができなかった場合も、制度の条件(妊娠4ヶ月以上等)を満たせば一時金を受け取ることができます。
* 産科医療補償制度とは、万が一、出産時に赤ちゃんが重度脳性麻痺となった場合、速やかに補償を受けられるように、分娩を扱う医療機関が加入する制度です。出産する病院が加入しているかどうかは、「加入分娩機関検索」で確認することができます。
出産・子育て応援給付金
子ども1人につき、10万円相当が自治体から支給されます。
妊娠中と出産後の2回にわけて支給されるもので、対象者は以下のとおりです。
対象となる世帯の所得制限はありません。
出産応援給付金
支給対象は、以下のいずれかに該当する方です。
- 2022年4月以降、妊娠の届出時に面談を受けている妊婦さん
- 2022年4月以降に出産したお母さん
支給額は、妊婦さん1人あたり5万円(多胎の場合も一律5万円)
子育て応援給付金
支給対象は、以下の両方を満たす保護者(養育者)です。
- 2022年4月以降に生まれた子を育てている
- 赤ちゃん訪問(新生児訪問)時に面談を受けている
支給額は、2022年4月以降に生まれた子ども1人あたり5万円
支給内容は、商品券や利用料の割引など、自治体により異なりますが、主に以下のような形で支給されます。
- ベビー用品などの商品券
- 産後ケア、一時預かり、家事サービス等の利用料助成
- 現金で支給
妊娠の届出時や、新生児訪問の面談時に申請の案内がありますが、詳しくは各自治体のHPをご確認ください。
出産手当金(会社員のみ)
健康保険の被保険者の場合、産休中の収入を補うものとして、出産手当金を受け取ることができます。
出産手当金は、出産日以前42日(多胎は98日)から、出産翌日以降56日の範囲で、会社を休み、給与の支払いがなかった期間を対象に支払われます。
予定日よりも遅れて出産した場合、遅れた日数も対象になります。
支給額は、まず「1日あたりの金額」が計算され、それをもとに、対象の日数分を受け取ることになります。
支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額(基本給、手当、ボーナス含む)÷30日×3分の2
ざっくり、産休前の給与の7割くらいのイメージですね。
その他、利用できる制度
給付金以外に、税金や社会保険で利用できる制度もおさえておきましょう。
高額療養費制度
不妊治療や、帝王切開・異常分娩による出産は、健康保険の適用になります。
費用が高額になっても、後で申請すると、一部払い戻しを受けられる可能性があります。
高額療養費制度は、かかった医療費を1ヶ月単位で軽減する制度です。
病院や薬局で支払った医療費が、1ヶ月間(月の初めから終わりまで)で高額になった場合、一定の上限(自己負担額)を超えた分は、後で払い戻しを受けることができます。
- 上限額は、年齢や所得によって異なります。
- 入院時の食費や差額ベッド代は含まれません。
医療費控除
妊婦健診や通常分娩は健康保険の対象にはなりませんが、医療費控除の対象になるものがあります。
医療費控除には、支払った医療費に応じて、所得税と住民税が安くなる効果があります。(確定申告が必要)
医療費控除の対象になる
- 健診、通院のための交通費(タクシー代含む)
- 病院から出される入院中の食事代(出前や外食費は対象外)
医療費控除の対象にならない
- 入院時の身の回り品(洗面用具など)を購入した費用
- 里帰り出産のために帰省する交通費
医療費を補填する給付金(出産育児一時金、配偶者出産費、民間保険の医療給付金など)を受け取った場合は、医療費控除の額を計算する際に、その分を差し引かなければなりません。
ただし、産休中の出産手当金は、勤務できないことによる収入減を補うものですので、医療費から差し引く必要はありません。
社会保険料の免除
出産前後の一定期間は、社会保険料が免除されます。
この期間は、実際に保険料の支払いをしなくても、特別に支払われたものとして、将来の年金額が計算されます。
フリーランス(1号被保険者)の場合
出産予定の前月から4ヶ月間
多胎妊娠の場合は、出産予定の3ヶ月前から6ヶ月間
会社員の場合
産休、育休をとっている期間
日頃、お客様とお話しする中で、かなりの確率で思うのは、「若いのにしっかりしてるわぁ」ということです。
お金が足りなくならないか、お子さんの教育費や老後のことまで、今から考えておこうという姿勢に日々感心しています。
子どもは一人とか、家族計画を意識しているご夫婦も少なくありません。
お金の問題に関しては、事前に知っていれば何とかなることも多いです。
使える制度を知って、あなたと大事なご家族がより良い選択をできますように!