投資を始めたいけれど、売ったり買ったりのタイミングを計るのは難しそうと感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、ドルコスト平均法です。
手間が少なく、長期的な資産形成にもってこいのドルコスト平均法についてまとめました。
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法は、定期的に一定額を投資する方法です。
「毎月1万円ずつ投資信託を購入する」といったスタイルで、定額預金と同じようなイメージです。
こうした買い方をすると市場の変動に左右されにくく、無理なく長期的に資産を積み立てていくことができます。
投資信託などの価格が日々変動する金融商品を、身近な果実(りんご)にたとえてみましょう。
りんごの価格は季節や供給量によって変動しますが、毎週一定の予算で買い続けると、結果的に、最安値ではないがすごく高くもない「平均的な価格」で購入することになります。
資産形成においても、市場の上昇や下落に関係なく、一定額を定期的に投資することで、平均的な購入価格を抑える(高値づかみを避ける)効果が期待できます。
ドルコスト平均法の利点
この方法の最大のメリットは、投資タイミングを分散できる点です。
どんな商品でも安い時に買い、高い時に売ることで利益が出ますが、市場の動きを予測して最適な買い時を見つけるのはとても難しいですよね。
ドルコスト平均法は、そんな価格の上がり下がりに関係なく、決めたペース・金額で自動的に投資する方法ですので、「今が買い時だ!」などとタイミングを気にする必要がなく、ストレスがありません。
投資のことなんて忘れていても大丈夫です。
こだわれば買い時として常にベストではないかもしれませんが、「まあベターかな」というゆるい選択をすることは、無理なく長く続けるために大切な要素でもあります。
結果として、長期的には安定した資産形成が期待できるため、多くの人に支持されています。
ドルコスト平均法の効果
ドルコスト平均法では、価格が高い時には少ない量を、価格が低い時には多い量を購入します。
これによって、購入期間全体をならすと、平均購入価格が下がる(割安で買える)効果があります。
たとえば、1ヶ月間でりんごを買う例でみてみましょう。
1週間の予算は1000円(1ヶ月で4000円)、りんごの価格は1週目100円、2週目50円、3週目80円、4週目130円と変動したとします。
一括で購入した場合
1週目で予算を全額使いきって一括購入すると、1個あたり100円なので、りんごは40個買えます。
分けて購入した場合
1週間ずつ分けて購入した場合、週ごとのりんごの価格と、買える個数は以下のとおりです。
購入時期 | 予算 | 単価 | 個数 |
---|---|---|---|
1週目 | 1000円 | 100円 | 10個 |
2週目 | 1000円 | 50円 | 20個 |
3週目 | 1000円 | 80円 | 12.5個 |
4週目 | 1000円 | 130円 | 7.69個 |
予算は毎週1000円で変わりませんが、りんごの単価が週によって変わるので、手に入るりんごの個数が異なります。
4週間で合計50.19個のりんごを購入することになり、1個あたりの平均購入価格は約80円になりました。
一括購入よりも安く買えたことになりますね。
4000円÷50.19個=約80円
このりんごを売って利益を出すためには、一括購入では1個あたり100円よりも高く売らなければなりません。
一方、週ごとに分けて購入した場合は、100円で売れば約20円の利益です。
このように買うタイミングを分散して、価格が安い時には多く買い、高い時には少なく買うことで、トータルでの平均購入価格を抑えることができ、利益が出やすくなります。
すべての場面で万能ではない
タイミングを分散して投資するドルコスト平均法ですが、市場がずっと上昇し続ける場合、平均購入価格が高くなることもあります。
価格が徐々に上がっていく状況では、初めのうちは安く買えるかもしれませんが、次第に高い価格で買うことになります。
その結果、全体的な平均購入価格が上がってしまい、初めにまとめて買っておいた方が割安だったね、、ということが起こり得ます。
買値を抑えやすいと定評がある方法ですが、万能ではない点も理解しておきましょう。
とはいえ、価格の動きを事前に予測するのは難しいので、長期的な視点でドルコスト平均法を活用する価値は十分にあると思います。
補足:一括投資について
一括投資とは、まとまった資金を一度に投資する方法です。
ボーナスで一度に100万円の投資信託を購入するような形ですね。
一括投資した時点を基準に、それよりも市場が上昇したら短期間でも大きな利益になり得ますし、逆に下がってしまうと大きな損失を被る可能性があります。
先が読めない限り、一括投資で、かつ短期間に利益を得ようとするのは賭け事に近いともいえますね。
一方で、一括投資であっても長期保有(たとえ下がってもいつか上がるまで待ち続けられるスタンス)が前提であれば、リスクは軽減される可能性が高いです。
一括投資であれば、しばらく使う予定のない余裕資金で、心がざわざわしない程度の金額で行うことがポイントです。
また、そもそもの商品選びの段階で、リスクが高い投資先や手数料が高い投資信託を選んでしまうと、たとえ長期であっても残念な結果になりかねません。
長期投資は、お金だけでなく、あなたの大切な時間も費やすことになります。
過去のパフォーマンスや手数料、運用方針*などはネットで簡単に確認することができますので、商品選びは自分の目で確かめて慎重に行いましょう。
* 個別の投資信託の確認には「ウエルスアドバイザー」のサイトが便利です。
まとめ
ドルコスト平均法の最大の魅力は「手間の少なさ」でしょう。
投資のタイミングを計る必要がなく、毎月一定額を自動的に投資するだけでOKというシンプルさが特徴です。
また、まとまった資金がなくても始められるのも大きなメリットですね。
最終的に投資で利益を得るためには、出口(売る時)の価格も重要ですが、長い資産形成の「始め方・続け方」としてドルコスト平均法はとても便利です。
仕事が忙しい人でも続けやすい方法ですので、ぜひ取り入れてみてください。