原材料価格の値上がりや供給不足で、住宅価格が高騰しています。
周辺の物件価格を見渡しても、なんだか高い!と感じませんか。
日本では新築住宅の人気が高く、マイホームは当然新築といった考えも根強いですが、最近では中古住宅(=既存住宅)も注目されています。
価格が安いだけでなく、将来の価格低下リスクが少ないといったことも、一般消費者の間でよく知られるようになってきました。
新築住宅とは違った特徴がありますので、中古物件の購入をお考えの方は参考にしてみてください。
中古住宅とは?
「完成から1年以上経過している建物」または「完成から1年未満であっても、一度でも入居した建物」を中古住宅といいます。
完成後1年以上売れ残っている、もしくは購入者が何らかの事情で入居しないまま売りに出したものは「未入居物件」と呼ばれます。
完成後1年未満でも、一度入居した建物は「築浅物件」と呼ばれ、これも中古住宅になります。
新築と中古では、税制などの違いがあるため注意が必要です。
中古住宅にかかる費用
中古住宅にかかる主だった費用のポイントを見ていきましょう。
購入時の消費税
住宅を購入する場合、建物には消費税がかかります。(土地は非課税)
売主が不動産会社の場合(中古物件を不動産会社が買い取り、リフォームして売りに出すケースなど)は、建物部分に消費税がかかります。
中古住宅を個人から購入する場合、消費税はかかりません。
仲介手数料
中古住宅は不動産会社の仲介による取引が多く、その場合、仲介手数料が発生します。
売買価格 | 仲介手数料(上限) |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円超~400万円以下 | (売買価格×4%+2万円)+消費税 |
400万円超 | (売買価格×3%+6万円)+消費税 |
例えば、不動産会社の仲介で、2000万円の中古住宅を購入した場合、仲介手数料の上限は約72万円となります。
物件価格以外にかかる費用として、予算に入れておく必要があります。
リフォーム費用
すでにリフォームされた物件が売られているケースもありますが、買主がリフォームを行うケースも少なくありません。
費用は数十万円~数百万円、建物の状況やリフォーム内容によって異なります。
間取りを変えるなどの大掛かりな工事を行って、新たな機能・用途にするようなケースはリノベーションと呼ばれ、費用の目安は1000万円以上と考えておきましょう。
購入時のチェックポイント
中古住宅は、購入時にはすでに築年数が経っていて、一般的に新築住宅より耐久性も劣ります。
新築ほど保障が手厚くない点も踏まえて、ポイントをおさえておきましょう。
保証の内容
新築住宅では、法律(品確法)に基づいて、建物の構造上主要な部分について10年間の保証がありますが、中古住宅にはこれが適用されません。
中古住宅は、2020年4月から「瑕疵担保責任」に変わって新たに制定された「契約不適合責任」に基づき、原則1年間の保証になります。
契約不適合責任とは
売主が責任を負う要因は、以前は、購入する物件に「隠れた欠陥や問題がある場合」でしたが、これが「契約内容に合致していない場合」に変わりました。
例えば、「雨漏りはしない」と契約書に書いてあったのに、住んでみたら雨漏りしていたという場合、売主に「雨漏りを直してください」と請求することができます。
逆に、契約書に「雨漏りします」と書かれている場合は、それを承諾して契約したことになるので、売主に責任を問うことはできません。
物件に何らかの不備がないかどうか、不備がある場合、その内容や責任の範囲を、物件状況等報告書や契約書でしっかり確認しておくことが重要です。
修繕積立金
マンションの場合、長期的な修繕計画に基づき、修繕積立金がきちんと確保されているかも需要なポイントです。
修繕積立金は、主に共有部分を維持管理するための費用で、将来の大規模なメンテナンスに備えて所有者全員で積立てるものです。
計画に対して修繕積立金が不足している場合、購入後に値上げされる可能性が高くなります。
また、滞納率が高いと、計画していた修繕が実施できないおそれがあります。
修繕積立金は、国交省が公表する「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で、おおよその目安額を把握することができます。
一般的なマンションの場合、専有面積1㎡あたり250円程度、例えば80㎡のマンションなら、毎月の平均的な修繕積立金額は2万円くらいと考えられます。
検討する物件の修繕積立金の状況は、不動産会社を通じてマンション管理組合に依頼し、長期修繕計画や管理組合の議事録などを確認させてもらいましょう。
日常の管理
マンションの価値は管理で決まるともいわれます。
経年劣化は仕方のないことですが、大きなひび割れや腐食が放置されていないか、廊下や階段、エントランスがきれいに保たれているか、掲示板まわり、駐輪場、ごみ置き場の清掃状況などは、管理状況を測るポイントになりますね。
戸建ての場合は、近隣環境をよく確認しましょう。
窓を開けた時のお隣との距離感、視界、音やにおいも要チェックです。
購入する物件だけに気をとられて、家の裏側の窓を開けたら、そこにはゴミ屋敷が・・・なんていうこともあります。(実例、私の場合)
住んでみないとわからないこともありますが、事前に確認できるところには目を光らせておきましょう。
総住宅数6,200万戸に対して、総世帯数は5,400世帯と、住宅の数はすでに飽和状態です。(総務省、平成30年「住宅・土地統計調査」より)
これまでの、どんどん新しいものに置き換えるスクラップ&ビルドの社会から、あるものを手入れして長く使うことに移行する流れも必然といえますね。
新築よりもコストを抑えて、必要なところはリフォームで住みやすく手入れができる中古住宅、個人的にはなかなか良い選択肢と考えています。