夏休みで帰省された方も多いのではないでしょうか。
帰省やお墓参りにちなんで、相続にも関連する空き家問題についてまとめました。
不動産は財産か?
相続において、不動産は最重要事案といっても過言ではありません。
持ち運びができない、平等に分けられない、金額が大きいといった理由で、手続きも面倒になりがちですが、放っておくと大変な問題に発展してしまいます。
不動産は財産か?
答えは分かれるところかもしれませんが、財産だと言い切る方がいらっしゃいました。なぜなら、固定資産税がかかるから。
たしかに、「資産」ってついてますからね。
ただ、近年不動産は「負動産」とも言われるように、必ずしもプラスの資産とはいえない状況になっています。
住む人がいない家の現状
実家を相続したものの、子どもたちは別に暮らしているため実家に住む人はいない、かといって取り壊すには解体費用がかかり、固定資産税も高くなってしまうためそのまま放置、といった「空き家」が日本中で問題になっています。
空き家率は、全国の総住宅数の13.5%(平成30年住宅・土地統計調査より)で過去最多となり、10軒に1軒は空き家という状況です。
空き家にしておく理由は、物置として必要とか、解体費用をかけたくない、将来使うかもしれない等あるようですが、きちんと管理しないと、倒壊の危険や治安の問題、近隣への迷惑にもなりかねません。
特定空き家について
空き家がボロボロのまま放置され、自治体から危険な状態(特定空き家)と判断されると、何とかしてください!という指導・勧告がなされます。
それでも状態が改善されない場合は「人が住むための場所ではない」と認定され、行政によって解体されたり(解体費用は空き家の所有者に全額請求されます)、固定資産税が5~6倍も高くなってしまう可能性があります。
特定空き家に該当するかどうかの基準は自治体によって異なりますが、概ね以下のような状態の家をいいます。
- 建物が傾いている
- 窓ガラスが割れたり、屋根瓦や壁が朽ちている
- 浄化槽などからの異臭や害虫が発生している
- ゴミが放置されている
- 立ち木やツタ等が建物全体を覆うくらい茂っている
- 動物が住みついている
こんな風になってしまうと、周りに住む人は困ってしまいますよね。
すでに持ち家がある等、住むことができない場合は、できるだけ早く対処しておかなければなりませんね。
相続が発生したら相続登記を
空き家の多くは、相続で取得した不動産といわれています。
相続手続きがされておらず、所有者が亡くなった人のまま放置されているケースも、困った問題になる可能性があります。
不動産を持っていた人が亡くなると、新しく所有者となる人が「相続登記」という手続きを行い、権利を自分のものに書き換えなければなりません。
ただ、この手続きには〇ヶ月以内といった期限がないため、所有者はずっと昔に亡くなった人のままという状態になっていることがあります。
そのまま時が流れて世代交代が進むと、法定相続人は雪だるま式に増えていきます。
不動産の売却やリフォームなどの修繕工事は、所有者でなければ行うことができません。
法的に登録されている所有者が亡くなったおじいちゃんのままでは、何もできないんですね。
その不動産を処分したり、新たに活用したいといった場合、その時に手続きをする相続人(子や孫やひ孫)が、ものすごく大変な思いをすることになってしまうのです。
相続を放棄する場合
他に相続人がいない場合、相続放棄した不動産は国に返還され、固定資産税を支払う必要もなくなります。
ただ、相続を放棄すると、財産のすべてを相続できなくなってしまいます。
たとえば不動産の他に、預貯金などの財産がある場合に、預貯金だけを相続するということはできません。
また、放棄した後も一定の管理責任は残り、完全に無関係にはならないため注意が必要です。
放棄するかどうかは、総合的かつ慎重に判断しましょう。
空き家の売却・活用
売却・解体のほか、店舗や事務所の創業スペースにする等、用途転用も可能性の一つです。
中古物件を売却する場合は品質の保証が、用途転用の場合はリノベーション等の費用負担がハードルになりそうですが、問題のある空き家にしてしまうよりも、次の所有者が安心して利用できるような引き渡しを検討してみてはどうでしょう。
解体費用は助成金が出る自治体もありますので、確認されると良いですね。
相続は、誰もがいつか必ず当事者になる出来事です。
別々に暮らしていると普段は話題になりにくいかもしれませんが、実家に帰ったり、親族と顔を合わせる機会に、先祖代々の土地や不動産について会話しておくと良いですね。