金利ある世界の住宅ローン|変動金利のしくみと注意点
日本は長らく「金利のない世界」が続いてきましたが、状況は大きく変わりました。
2024年、日銀はマイナス金利政策を解除。その後も利上げが続き、金利は約30年ぶりの水準まで上がっています。
住宅ローンを借りる人の多くは変動金利を選んでおり、住宅金融支援機構の調査では77.4%にのぼります。(2024年10月調査)
「金利のある世界」に変わった今、変動金利のしくみと注意点を、あらためて押さえておきましょう。
住宅ローン 3つのタイプ
住宅ローンには、主に3つの金利タイプがあります。
それぞれの金利は、国債の利回りや銀行が企業に貸し出す際の金利を基準に決められ、タイプごとに異なります。
| 金利タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 全期間固定型 | 全期間通して金利が変わらない |
| 固定金利選択型 | 返済開始から一定期間は金利が固定 |
| 変動型 | 一般的に半年ごとに金利が見直される |
全期間固定型
借りる時に返済終了までの全期間の金利を決める方法です。
それ以降の金利変動に左右されないため、安定した資金計画ができます。
ただし、世の中の金利が下がった場合でも、借入時の金利がずっと適用されます。
固定金利選択型
返済開始から一定期間の金利を固定し、その期間が終了するときに再度金利タイプを選択する方法です。
固定期間中に変動金利に変更することはできません。
固定期間が終わると、変動金利か再度固定金利を選ぶことができますが、その際の金利は定まっていないので金利上昇のリスクがある上に、引き下げ幅(金利の割引)が初めより小さくなることが多いため、返済額が増える可能性があります。(後述します)
変動金利型
半年ごとに金利が変動し、5年毎に返済額が見直される方法です。
固定型よりも低い金利が設定されていますが、金利上昇リスクがあります。
変動金利型の特徴
変動金利型は、借入期間中の金利が半年ごとに見直され、5年毎に返済額が見直されるタイプの住宅ローンです。(返済額を半年ごとに見直す商品もあります)
- 固定型よりも金利が低い
- 金利が下がると、それに応じて支払う利息が少なくなり、総支払額が減る
- 金利が上がると返済額が増える
- 金利上昇に伴い、利息が大幅に増えると元金がなかなか減らず、総支払額が大きくなる
変動金利が魅力的なのは間違いありません。ただ、金利が上がった時に慌てないように、家計に余力を残した返済プラン(つまり、借入額)にしておくこと、とても重要です。
変動金利「5年・125%ルール」
多くの金融機関では、「5年・125%ルール」を採用しています。
返済額が変わるのは5年に一度
金利が変わってもすぐに返済額が変わるのではなく、毎月返済額は5年毎に見直されます。
5年間は、適用金利が変わっても、同じ返済額の中で「元本と利息の割合」だけが変わります。
返済額自体は一定期間変わらない安心感の一方で、金利が上昇すると、返済額のうちの利息部分が増えるため、その分元本を減らしにくくなってしまいます。
返済額アップは125%まで
返済額が見直される際、急激な返済額アップを避けるために、どれだけ金利が上がったとしても返済額の上昇幅を最大で1.25倍(25%増加まで)に制限しています。
ただし、利息が減額されるのではなく、125%を超えて払いきれなかった利息は元本に追加され、最終的には全額支払う必要があります。
金利が下がり、毎月の返済額が減少する場合には、特に制限はなく減額されます。

金利上昇時の未払利息
適用金利が短期間に大きく上昇した場合、「未払利息」が発生する可能性があります。
毎月の返済で何を優先して支払うかは金融機関によって異なりますが、一般に ①未払利息、②約定利息(契約に基づいて毎月支払うことになっている利息のこと)、③元金 の順番で充当されます。
未払利息の発生
- 毎月の返済額のうち、利息支払い分が多くなると、元本の減り方が鈍っていく。
- さらに金利が上がると、利息分が毎月返済額を上回る。この場合、上回った部分が未払利息となる。
未払利息の返済
未払利息がゼロになるまでは、毎月の返済額は未払利息に充当されます。
こうなると、毎月返済をしても元本部分が減らないことになってしまいます。
解消しきれなかった未払利息は、最終回にまとめて一括で支払わなければなりません。
そう頻繁に起きることではないけれど、なかなかゾッとする話ですよね。
一方で、「5年・125%ルール」がない金融機関の場合は、金利上昇がそのまま返済額に跳ね返ります。(それはそれで大変)
どちらにせよ、借り過ぎないことが一番の備えですね。
固定期間が終わったあとは?
実際に、固定金利選択型を選んだお客様がおられました。
「固定期間が終わって変動金利に変わったら、すごく返済額が上がってびっくり」
ちょうど出費がかさむ時期とも重なり、家計の不安はかなり大きいとのこと。
固定期間が終わったあとの金利は、契約時点では確定していません。今の金利水準がそのまま続く前提でいると、返済額の予定が大きく狂ってしまいます。
固定期間選択型を選ぶなら、
- 固定期間が終了する時期を書き留めておく(忘れない!)
- 金利が1〜2%上がった場合の返済額を、借入時点でシミュレーションしておく
- 固定期間の終盤に近づいたら、実際の金利動向を確認し、必要に応じて借換を検討する
といった準備をしておくと安心です。
変動から固定に換える難しさ
固定金利型と変動金利型では、金利を決めるしくみが異なります。
固定金利型 → 長期金利
変動金利型 → 短期金利
金利が上がるときは、長期金利の方が短期金利よりも先に動くといわれています。
そのため、「変動金利が上昇し始めたら固定型に借り換えよう」としても、その時点ではすでに固定型の金利が大きく上昇している可能性が高く、実際には思ったほど機動的に動けないとか、難しい判断になりそうです。
変動金利型では、比較的低めの金利と引き換えに、「将来、金利が上昇した場合は返済額が大きくなる」リスクを、借り手である契約者(あなた)が負うことになります。
あなたの返済プラン、「上がらない金利」が前提になっていませんか?

