2022年10月から新しい育児休業が創設されます。
産休は出産する女性しか取得できませんが、産後すぐ~2ヶ月以内に、お父さんも育休とは別枠で、育児サポート休業ができる制度です。
新制度の概要
共働き世帯が65%を超えるご時世、感覚的には、だいぶ前から男性の育児協力はすっかり当たり前と感じますが、法的にもその後押しがなされます。
育児休業は、出産や育児のために仕事を辞めなくても良いように、希望すれば男女共にお休みをとるなどして、仕事と育児を両立できることを目的としています。
まず、2022年4月から、妊娠・出産を申し出た従業員に対して、会社が育休に関する情報提供をしっかり行なうことが義務化されました。
育休の取り方や給付について、知らなかった、聞いていないにならないように、会社側にも責任が課されるようになりました。
2022年10月には、男性の育休取得を促進するため「産後パパ育休」がスタートします。
産休、育休って?
出産の前後、会社員が育児中に取得できる休業は以下のとおりです。
産前休業 → 出産前6週間前(双子以上は14週間前)から、請求することでお休みできます。
産後休業 → 出産後8週間(単胎、多胎問わず)までは働いてはいけません。
育児休業 → 子どもが1歳になるまで、希望する期間お休みできます。出産した女性は産後休業後から、男性は出生日から取得できます。
産後パパ育休とは?
これまでの育児休業とは別枠で、子どもが生まれてから約2ヶ月以内に、最大28日間(4週間)、男性が取得できる育休です。
生後2ヶ月までに取得するものなので、男性版の産休という位置づけですね。
産後パパ育休 | 育児休業制度 |
---|---|
2022年10月新設 | 2022年10月改正 |
パパが取得 育休とは別に取得可能 | パパもママも可 男女とも同じ内容 |
生後8週間以内に、4週間(28日間)まで取得可能 | 原則、子が1歳(最長2歳)になるまで |
2回まで分割して取得可 初めにまとめて申出必要 | 夫婦ともに2回まで分割して取得可 取得の際それぞれ申出 |
育休中の就業:可 | 育休中の就業:不可 |
分割して取得できる
産後パパ育休の取得可能な日数(最大28日間)を、一度にまとめて休むことができない場合は、2回に分けて取得することもできます。
ただし、初めにまとめて申請が必要です。
仕事の調整と、家族間での話し合いを計画的に行わなければなりませんね。
現行の育児休業は、子どもが1歳になるまでまとめて取得するもので、休業期間を分割することはできません。
ですが、こちらも10月からは、2回に分けて取得することができるようになります。
産後パパ育休とあわせると、子どもが1歳になるまで、パパは最大4回の育休を取得できます。
育休中に就業もできる
産後パパ育休は、希望すれば、その間に就業することもできます。(会社と従業員が条件に合意している範囲内で)
ただし、就業可能日数に上限があります。
就業できるのは、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分まで。
例えば、1週間5日、1日8時間勤務の人が2週間休業した場合、働ける上限日数は5日、就業時間は40時間までとなります。
基本的に「育児」をする期間であって、どうしても必要な場合は可(でも調整してね)ということですね。
育休中に受給できる給付金
育児休業中は、お給料の収入減を補う「育児休業給付金」を受給できます。(雇用保険から給付されるものです)
産後パパ育休についても、これと同様に「出生時育児休業給付金」が新設されます。
受給要件は、通常の育児休業給付金とほぼ同じですが、産後パパ育休中に就業日がある場合、就業日数が一定以下であれば、給付の対象となります。
支給額は「休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(ただし育休開始から6ヶ月経過後は50%)」
休業開始時の賃金日額は、休業開始前6ヶ月の総支給額(保険料等が控除される前の額、賞与は除く)を180で割った額です。
実際の金額は日数で算出されますが、ざっくり休業前給与の約3分の2と考えておきましょう。
平均給与(月額) | 育児休業給付金 |
---|---|
15万円 | 10万円程度 |
20万円 | 13.4万円程度 |
30万円 | 20.1万円程度 |
育休中は社会保険料も免除
産後パパ育休、通常の育児休業ともに、休業中の健康保険と厚生年金の保険料が免除になります。
手続きは会社を通して行い、従業員、会社の両方の負担が免除されます。
この免除期間は、将来の年金額を計算する際、保険料を納めた期間としてカウントされます。
将来の年金額は、保険料を支払った期間と金額に比例して増えていきますので、実際の支払いはしていなくても、払ったものとして計算されることは大きなメリットといえますね。
育休利用のちょっとした心構え
育休の申出・取得を理由に、会社が解雇や退職を勧めたり、正社員からパートに契約変更する等、従業員に不利益な対応をすることは禁止されています。
当然ながら、お父さんが育休をとる場合も同様です。
令和の世の中、男性の育休だって堂々と主張できる権利ではあるのですが、でも現実はちょっと冷ややかだったり、必ずしもウェルカムな感じではなかったりするのだと思います。
「男のくせに育休をとるなんてあり得ない」とか「迷惑だ、自分なら取らない(あなたもそうすべき)」とか。
圧を感じやすい人は、諦めてしまうかもしれません。
私自身、時短勤務ですら肩身狭く感じたり、保育園時代を乗り切った先輩ママ社員の風当たりが意外と強かったり、仕事のフォローをお願いするので精神的に疲れていた思い出があります。
育休は堂々と使って良い制度ですが、その間サポートしてくれる周囲に感謝しつつ、お休みを取得する人自身が強くならないとですね。