フリーランスになる時には忘れずに!社会保険3つの手続き

新型コロナの影響で、否応なしにリモート化が加速し、会社員でも自宅で仕事ができる時代になりました。

今後人口が減っていく日本では、男性女性を問わず、子育て中の人も高齢者も、障害のある人も、できるだけ多く・長く働けるように(労働力確保!)、国や企業が推進しています。

ワークライフバランスとか、「時間・場所・契約にとらわれない柔軟な働き方」など、働き手にメリットがありそうな言葉もよく聞きますよね。

実際、ネット上で仕事を受発注できるクラウドソーシングによって、雇用契約によらない仕事の機会も増えています。

ただし、こうした新しい働き方は「自由」な反面、労働者として会社に守られることがありません

個人が起業したり、自由に仕事をするスタイルは今後も増えていきそうですが、会社員からフリーランスになると、本業や営業活動だけでなく、今まで会社がやってくれていた税金や労務の手続きも、基本すべて自分でこなさなければなりません。

慣れないことで疎かになりがちですが、自分を守るのは自分。心して臨みましょう!

まずは雇用保険の手続きを

会社を退職する時は、雇用保険の基本手当を受けられるかどうかを確認しましょう。

いわゆる失業保険というものですね。

基本手当(失業保険)の受給資格

  • 会社都合(倒産など)の場合、退職前の1年間に、6ヶ月以上雇用保険に加入していること。
  • 自己都合の場合、退職前の2年間に、12ヶ月以上雇用保険に加入していること。
  • 就職したいという積極的な意思と、働ける能力(健康状態や環境)があるにも関わらず、就業についていないこと。

例えば、育児や病気等ですぐに就職できない状況だったり、そもそも就職するつもりがまったくない場合は、原則受給することができません

独立開業する場合、基本的には「就職の意思はない」かもしれませんが、もし創業の準備期間中に、仲間が立ち上げた会社に雇用されるかもしれない等、再就職の可能性もある場合は、失業保険の申請をしておきましょう。

求職活動と並行して創業準備を行う場合、自営の準備に専念するものなのか、新しい仕事の紹介があれば応じれらるのか等、個別事情を勘案して判断されます。(厚生労働省・雇用保険に関する業務取扱要領(令和4年4月1日以降)より)

受給できる場合、給付額は「基本手当日額(退職前の平均給与の45%~80%)×給付日数」で決まります。

ざっくり、退職前半年間の平均給与が20万円程度の場合、給付額は月額13~14万円ほど、平均給与が30万円程度の場合、給付額は月額16~17万円ほどになります。

なお、すでに事業を始めている場合は、収入がなくても「失業」の認定はされません。

次の勤務先が見つかるまで、もしくは開業する際、転職(準備)期間中に給付を受けられるのは、とても助かります。

ただし、独立開業前の「失業」状態の判断は一律ではないため、注意が必要です。

公的な健康保険が変わります

病院での診察や、薬局で薬を処方してもらう時に提示する健康保険証も切替になります。

状況に応じて、「健康保険任意継続」「国民健康保険」「家族の健康保険(被扶養者)」のどれかを選んで加入することになります。

健康保険任意継続

本人が希望すれば、在職中とほぼ同じ内容の健康保険に、最長2年間加入することができます。

会社の健康保険に2ヶ月以上加入していたことが条件で、退職後20日以内に手続きが必要です。

ただし、お勤めしていた時は会社と折半だった保険料が、任意継続の場合、全額自己負担となります。

申請は、自宅住所地を管轄する全国健康保険協会の都道府県支部で行います。

国民健康保険

会社員以外の人が加入する保険で、保険料は世帯の人数や収入から算出されます。

お住まいの市町村の国民健康保険の係が窓口となります。

また、会社では社会保険料として、健康保険と年金分が一緒に天引きされましたが、自営業の場合、国民健康保険と年金保険料は別々に納めなければなりません。

年金の手続きが滞ると、万が一の時の遺族保障等が受けられなくなりますので、忘れずに両方の手続きをしてくださいね。

家族が加入している健康保険の被扶養者になる

家族にお勤めしている人がいる場合、その人に扶養される立場となって、保険をカバーしてもらう方法です。

手続きの窓口は、お勤めしている家族の勤務先です。

被扶養者(扶養される人、この場合は退職してフリーになった人)には保険料の負担がありませんが、加入要件はお勤めしている人の勤務先によって異なりますので確認が必要です。

加入する年金制度が変わります

国の年金制度は、加入者の職業(働き方)によって、3つに分けられます。

これから自営業になる方は国民年金(第1号被保険者)、法人を設立する場合は新会社の厚生年金(第2号被保険者)、会社員である配偶者に扶養されるなら第3号被保険者となり、各々手続きが必要です。

第1号被保険者

加入するのは国民年金という制度で、保険料は1人・1ヶ月あたり16,590円(令和4年度)です。

保険料は収入に関係なく、加入者全員一律ですが、金額は毎年見直されます。

開業~軌道に乗るまで、保険料の支払いが難しい場合には、申請すると保険料の免除や、後で支払う納付猶予にすることもできます。

何もせずに保険料を納めない「未納」の状態にしていると、年金を受け取る資格を失ってしまう可能性がありますので、これはNGです。

第2号被保険者

法人を設立すると、社長一人の会社であっても、厚生年金に加入することになります。

お給料も自分で決めるわけですが、その給与額に応じて、保険料(健康保険+年金)が決まります。

雇用されている時は、会社が半分払ってくれていた保険料ですが、「自分の会社」の場合は、個人の分と会社の分、つまり全額を実質自己負担することになります。

役員の給与は、「今月は売上が多いからたくさんもらおう」とはできず、予め決めた額を原則1年間、同じ額で支払わないと経費にならないため、保険料の基礎にもなる「給与の額」は慎重に決めましょう。

第3号被保険者

本人の年収が130万円未満*で、配偶者が会社員であれば、配偶者の厚生年金に被扶養者として入ることができます。

この場合、個別に保険料を支払う必要はありません

*厚生年金制度の対象拡大によって、年収が106万円を超えると扶養から外れる場合もあります。(勤務先の規模や就業時間によって異なります)

年金の保険料未納は要チェック!

国の年金の役割は、年をとってからの老齢年金だけではありません。

ある日突然、稼ぎ頭が亡くなってしまった場合、残された家族を支える遺族年金。

病気やケガで日常生活に支障が出てしまった場合、症状に応じて、本人の生活を助ける障害年金。

どちらも公的年金から給付される、万が一のための保険です。

ただし、保険料をきちんと納めないと、受給資格を失ってしまいます。

原則として、加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付していることが要件になります。

年齢が若く、加入するべき期間がそもそも短い場合、少しの未納が受給資格を奪いかねません。

転職で仕事を探している期間、自営業になって慌ただしい時期等、うっかり手続き漏れがないように、必ず確認をしておいてください。

年金保険料の納付記録の確認方法

毎年1回(誕生月の第3週目頃)、日本年金機構から「ねんきん定期便」という圧着のハガキが届いているはずです。

その中に、加入・納付状況が記載されています。

見当たらない場合は、年金事務所の窓口か、Web上の「ねんきんネット」で確認することもできます。

ねんきんネットは、初めの利用登録が少々面倒ですが、一度登録してしまえば以降いつでも把握ができるので、登録しておくと良いですね。

もし保険料を納めていない未納期間があった場合は、本来の納期限から2年以内であれば後納することができますので、最寄りの年金事務所に確認をしましょう。