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未来のトラブルを先読み|もめない相続のための予習ノート

若いあなたにとって、相続なんてまだまだ先、遠く感じるテーマかもしれません。

だけど、いつかは誰しも当事者になること。

そして世の中では、遺産分割をめぐって、家族間でトラブルになってしまうことが、実は意外と多いんです。

どうして揉めてしまうのか。

背景やその原因を知っておくと、将来のあなたや家族を守るヒントになります。

今からできる心の準備で、家族との大切な時間を守りましょう。

相続のトラブル、本質は感情

相続は、「遺産が大きければ大きいほどトラブルが起こる」というイメージがあるかもしれませんが、実際はそうでもありません。

令和4年の司法統計年報によると、調停にまでいたった「揉める相続」の中で、遺産額が5000万円以下のケースは全体の約75%を占めています。

中でも、遺産額が1000万円以下、数百万円をめぐる争いが約30%もありました。

もめる、もめないは、遺産の額だけが問題ではないことがわかります。

揉める相続 3つの事例

相続の背景には、家族の思い出、感情、期待や不満が絡み合っています。

こうした要素がトラブルの原因になってしまうことも少なくありません。

揉める相続のケースをいくつかみてみましょう。

① 小さな遺産、大きな感情

Aさん姉妹は、親御さんから古い実家と500万円の預金を相続しました。

お姉さんは実家を売却し、売れた現金を分けたいと考えていました。

一方、妹のAさんは、思い出の詰まった家を残しておきたいと思っていました。

二人の間には、以前からこの家に対する思いに温度差があり、それがトラブルの原因となりました。

協議は数ヶ月にわたって激しい争いに悪化、最終的に調停で家は売却されましたが、その後も姉妹の関係は以前のようには戻らず、深い亀裂が入ってしまいました。

② 意外な遺言と家族の対立

Bさんは、長年家計を支えてきたので、父親からの多くの遺産を引き継げるものと思っていました。

ですが、父親の遺言書には、Bさんだけでなく、ずっと家を離れていた兄や異母弟へも遺産が配分されていました。

Bさんはこの事実に大きなショックを受け、家族間の対立が起きてしまいました。

その後、何度も家族会議を開くことになり、解決するまでにはかなりの時間と労力がかかりました。

結局、父親の意思を尊重することになりましたが、家族間のコミュニケーションの大切さを改めて感じさせられるものでした。

③ 突然の相続人、半兄の存在

Cさんの家族は、母親が亡くなった後、相続の手続きを進める中で、Cさんたちの半兄であるDさんの存在を知りました。

Dさんは、母親と前夫との子供です。

Cさんたちは、会ったこともないDさんと、母親の遺産分割協議をしなければならなくなりました。

Dさんは母親と長らく連絡を取っていなかったものの、法的には相続権があります。

結局、当事者だけでは話がまとまらず、裁判所で決着をつけることになりました。

こういった予期せぬ事実は、困惑のもとになってしまいます。

相続で気をつけたいポイント

相続では、思いがけないトラブルが起きてしまうことが少なくありません。

主な原因として、以下のような点が挙げられます。

  • マイナス資産の発覚
    亡くなった後に借金や債務があることが発覚した場合。
  • 不動産の扱い
    分けることが難しい資産の代表。物理的に分けられないものを、法的な「権利」で分割すると、後で将来さらにこじれる可能性も。
  • 生前の関わり方
    誰が親の介護をしたかなど、生前の関わり方や貢献度による温度差が生じる場合。
  • 遺言書の問題
    遺言書がない、あっても書かれている内容が曖昧で解釈が分かれるような場合。
  • 生前贈与の不平等
    一部の家族にだけ大きな贈与があった場合、その分をどの程度相続に反映させるかで揉めやすい。
  • 前妻・前夫との子の存在
    現在の家族が知らない、前妻や前夫との間の子供がいるケース。

仲の良い家族であっても、実際に相続が起きた時の家族の状況や期待はさまざまで、意外なトラブルに繋がることがあるんですね。

遺留分とは?

遺言書には亡くなった人の遺志が綴られているわけで、残された家族も、それをかなえたいと思うものです。

だけど、もしも「自分の財産はすべて愛人に捧げる」とか、「○○にすべて寄付する」なんて内容だったら…?

残された家族は、その後の生活に困ってしまうかもしれないし、納得できない場合もあるでしょう。

そこで民法では、相続人には「最低限これだけは相続できる分」を保証しています。

これを、遺留分(いりゅうぶん)といいます。

遺留分で相続できるのは、法定相続分の半分です。

ただし、遺留分があるのは、配偶者・子ども・親のみで、亡くなった人の兄弟姉妹には、遺留分がありません

財産を相続できないと、これからの生活に影響があると考えられる範囲が「配偶者・子・親」まで、兄弟姉妹はそれほど影響はないよね、という線引きがされているんですね。

遺留分の請求には期限があります。

自分の受取り分が侵害されていると知った時から1年以内、もしくは相続発生から10年以内に請求しなければなりません。

分割方法と遺留分との関係

相続財産の分け方には2つのパターンがあります。

一つは遺言書がある場合、もう一つは遺言書がない場合です。

遺言書がある場合

原則、遺言書にしたがって財産を分けます。

ただし、遺言書に書かれた自分の受取り分が極端に少なく、その理由がどうにも納得できないような場合は、自分に認められた最低限の受取り分(遺留分)を請求することができます。

遺言書がない場合

遺言書が残されていない場合は、相続人全員で話し合い、誰が、何を、どれだけ相続するかを決めなければなりません。

たとえば、相続人が妻と子ども2人の合計3人だったとして、話し合いの結果、妻が全財産を相続すると決まることもあるでしょう。

全員が納得してそう決まったのですから、これは当然有効な分け方となります。

このように、全員が話し合いで合意した場合は、遺留分という考え方は登場しません

まとめ

遺言書には、残す人の思いが刻まれています。

その気持ち・状況によって、遺産の分け方が平等にならないのも仕方のないことかもしれません。

残される側は、「相続はそもそも不平等にしかならない」と認識することが、笑顔相続へのカギになります。

家族の絆は、モノの価値を超えるもの。その価値を守るための大きな心が求められますね。

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