住宅ローンを組むとき、「返済を優先するか、それとも投資にお金を回すか」で迷うこと、ありませんか?
低金利の時代、「なるべく手元に現金を残して投資で資産を増やす」という考え方が注目されていますが、投資にはリスクもつきもの。ローンを抱えたままだと不安…という声もよく聞きます。
住宅ローンと投資をどう両立させるかをテーマに、それぞれの選択肢の特徴や気をつけたいポイントをまとめました。
自分に合ったバランスを見つける参考にしてみてください。
住宅ローンが「お得」な理由
住宅ローンを組む予定なんですけど、返済額をなるべく少なくして、その分投資に回すってアリですかね?
最近よく聞くやり方ですね。基本的には良い方法だと思うけど、一歩間違えると、住宅ローンという名前の借金と、投資のジェットコースターで二重に目が回ってしまう可能性もあるよね。
そもそも、住宅ローンって普通の借金と違うんですか?
そうなんですよ。住宅ローンは、いわば「VIP待遇の借金」で、他の借金と比べて金利が破格に低い。その理由は:
- 家という担保がある:銀行は、住宅ローンで買う家を差し押さえる権利を持ちます。もし相談者さんが返済できなくなったら、銀行は家を売って回収できるのでリスクが低いですよね。
- 長期契約で安定収益:銀行にとって住宅ローンの返済は、20年とか30年の超長期にわたってもらえる安定したお小遣いのようなもの。
- 銀行間の競争が激しい:少しでも借り手に選んでもらえるように、銀行間で、金利を下げる熾烈な戦いが続いている。
こういう条件がそろっているから、住宅ローンは他の借金よりもかなりお得な低金利で借りることができるんです。
これをうまく利用して、だったら資産形成(投資)も同時に進めよう、というのが最近のトレンドといった感じですね。
ちなみに、家を買うと、引越しやリフォームをしたり、家具や家電も新しくしたくなるものですよね。
こうしてお金があちこちに回るので、経済全体が活気づく。だから国も、住宅ローン減税などを通じて「家を買いやすくしますよ」という姿勢なんです。
住宅ローンを抑えて投資もするのはアリ?
住宅ローンの金利が低いなら、利息負担もそれほど大きくならないですよね?だったら、手元のお金を返済に回さず、投資に使う方が得しません?
理論上はそうですね。たとえば、住宅ローンの金利が1%、投資のリターンが3%だとすると、ローンの返済額を抑えて、その分を投資に回せば、金利差の2%分だけ資産が増える可能性がある、という計算です。
昔は「頭金をしっかり入れて、繰上返済で早く借金をなくす」が王道でした。
でも今は「低い金利を活かして長く借りて、その分のお金をもっと有効に活用する」という考え方が注目されているんです。
「借金も資産形成の一部」と捉えるようなイメージですね。たとえば:
頭金を少なくして投資に回す
なるべく手元に現金を残して、それで投資信託や株式を購入。うまくいけば、将来の資産をぐっと増やせる可能性があります。
繰上返済はしない
住宅ローンの返済は急がずに、こちらも手元のまとまったお金は投資に使うという発想。
さらに、住宅ローンには特別な生命保険(団信)もついているので、返済している間は、万が一のことがあっても家を守れるしくみがあるんです。
この保険も活かしながら、資産形成を目指す方法ですね。
ただ、投資にリスクはつきもの。現実はシナリオ通りにいかないこともあるので、そこをしっかり押さえておくことがポイントなんですよ。
投資で失敗しないためのリスクの話
投資ってやっぱりリスクありますよね?なんかこわいんですけど…
そうですね、リスクはあります。でも、事前にどんなリスクがあるのかを知っておけば不安も和らぐし、対策もできますよ。
たとえば、こんなことはいつでも起こりうるので想定しておきましょう。
市場の浮き沈み
投資は山あり谷あり。特に初心者は初めての「谷」(大きな値下がり)に遭遇すると、どうしても冷静さを失いがち。
「こんなはずじゃなかった」と、最初の下落で心が折れてしまう人も少なくありません。
返済の心理的負担
投資がうまくいかないと、気持ち的に「住宅ローンの返済がやけに重く感じる」なんてことも。
投資が不調なときには「本当にこのお金の使い方で良かったのか?」と不安に押しつぶされそうになるかもしれません。
お金の心配はメンタルを直撃します。
リスク許容度の見誤り
リスク許容度って、投資で損失が出たときにどれだけ冷静でいられるか、家計がどれだけ耐えられるかを指します。
たとえば、「これくらい大丈夫っしょ!」と思って始めた投資が、大きく下がるとパニックに陥る人も多いんです。
投資は余裕資金で行うのが基本ですが、実際に損失を目の当たりにすると、想像以上に動揺するのが人間の性(さが)ですよね。
ちなみに、投資のリスクって「損失そのもの」じゃないんです。投資の世界では、「値動きのブレ」とか「将来どうなるかわからないこと」をリスクといいます。
価格が上がったり下がったり、このブレ幅に一喜一憂しているとかなり疲れますよね。
だから、たとえドーンと半分くらいに下がっても、「まあ、こんな時もあるか。ゆっくり回復を待とう」と受け流せる範囲で投資することが大事なんです。
投資リスクを抑える3つのポイント
それじゃあ、どうすれば投資リスクを抑えられるんですか?
大事なのは、無理をしないこと。これだけでかなりリスクを軽減できます。
具体的には、こんなポイントを意識してみてください。
① 余裕資金で行う
投資はあくまで「余裕がある範囲」でやるのが基本。生活費やローン返済に支障が出るようでは本末転倒です。
② リスクを分散する
たとえば、一社の株式だけに集中するよりも、複数の国や会社、投資信託で分散すると安心感がぐっと増します。どれかが失敗しても全体が崩れるような痛手は避けられます。
③ 自分のスタイルを守る
長期投資なら、一時的な値下がりに振り回されないのが大事。地味でつまらないからといって、売ったり買ったり余計な動きをしない方が果実(利益)は大きくなりやすいです。
住宅ローン返済と投資、どちらを優先すべき?
で、結局、住宅ローンと投資って両立できるものなんですか?
投資は必ずしも確実なものではないし、性格的な向き、不向きもあるので「絶対にやるべき」とは限りません。大事なのは、家計全体のバランスを見て、自分に合ったやり方を選ぶことですね。
具体的にはどんな選択肢があるんですか?
大きく2つの選択肢があります。
「ローン返済を優先する方法」と「返済を抑えて投資も進める方法」です。それぞれ見ていきましょう。
プランA:住宅ローンの返済を優先
毎月の返済額を多めに設定して、できるだけ早くローンを完済する方法です。
- 借金をなるべく早く減らして、精神的な安心感を得たい。
- 確実に利息負担を減らして家計を安定させたい。
早く返済し終えると利息も少なく済みますが、返済中は毎月固定された負担が大きくなるので、他の出費に回す余裕が少なくなる可能性があります。
プランB:ローン返済を抑えて、投資も並行
毎月の返済額を抑えて、浮いた分を資産運用に回す方法です。
- 長期的に資産を増やす可能性を狙いたい。
- 家計に余裕を持たせながら柔軟に対応したい。
ただし、投資はリターンが確実ではないこと、返済期間が長くなるため、結果的に総返済額が増えることを考慮しておきましょう。
なるほど、それぞれ違いがありますね。繰上返済はどう考えればいいですか?
繰上返済は、まとまったお金をローン返済に充てることで、利息も減らして返済期間を短くするのが目的です。基本はプランAと同じ考え方ですね。
繰上返済をする場合のチェックポイント
- 繰上返済に使うお金は「余裕資金」であるか?
- 繰上返済をしても手元に十分な貯蓄が残るか?
- 繰上返済をすることで得られる安心感が、自分にとって大きな価値になるか?
繰上返済せずに投資を選ぶ
一方、繰上返済をしない場合はプランBと同じ考え方になります。
投資で資産を増やせる可能性がありますが、リスクが伴うことは心に留めておいてください。
つまり、どちらも考え方は似ているんですね。
そうなんです。「どれくらい安全重視したいか」「どれくらいの資産成長を目指すか」「投資が不調でも、いずれ回復するまでのんびり待てるか」を基準に考えると、選びやすいですよ。ただ、極端な投資アレルギーがないなら、細く長く、投資はした方が良いと個人的には思います。
家計を守る、住宅ローンと投資のまとめ
住宅ローンと投資を両立させるには、「無理しない」が一番大事です。
投資をするにしても、いきなり大きく動くんじゃなくて、まずは少しずつ試してみるところから始めましょう。
参考までに、こんなポイントを意識してみてください。
貯蓄が最初の一歩
まずは生活費の6ヶ月~1年分を現預金として確保するところからスタート。
まったく貯蓄がないまま投資を始めると、急な出費があった時や、市場が大きく下がった時に超アセることになってしまいます。
リスク許容度は人それぞれ
投資は利益も期待できるけど、必ずしも思い通りにはいかないもの。値下がりした時の気持ちはリアルに想像してみて!
投資の浮き沈みをどれだけ受け入れられるかは人によって違います。
「下がったらどうしよう」で夜も眠れないようなら、その投資はちょっと無理があるかも。
投資は少しずつ始める
「他よりもお得で有利だけど、とても安全」みたいな都合のいい投資は、ぜひ欲しいけど、実際はないんですよね。
だからこそ、ブレ幅が大きい投資は金額でコントロールすることが重要で、無理のない範囲で少額から始めるのがおすすめ。余裕資金でやるのが鉄則です。
投資ブームに乗らなきゃ!って焦る必要はありません。
住宅ローンと投資は、どちらも自分との相性を最優先に考えて活用すれば強い味方になります。
まずは家計を整えて、安心できる選択をじっくり見つけていきましょう!