保険あれこれ

家計が見えるライフプランの作り方|必要な保険を見極める

家計が見えるライフプラン|必要な保険を見極める

家計の中でわりと大きな割合を占める保険料。

公的保険に加入した上でさらに民間保険もとなると、トータルではかなり支出が膨らんでいきます。

でも、その民間保険、「いざという時」に本当に役に立つ内容になっているでしょうか?

たとえば、月1万円を保険料にするのか、資産形成に回すのか。その選択ひとつで、将来の家計には大きな違いが生まれます。

保険選びの基準が曖昧であれば、ぜひ一度、保険が「本当に必要な場面」を見直してみるのがおすすめです。

生命保険の役割

保険は、少しのお金(保険料)を支払うことで、いざという時に大きなお金を準備できる金融商品です。

一人ではできないけれど、たくさんの参加者が少しずつお金を出して、困った人を「助け合う」形で成り立っています。

保険では、日常的によくある出来事や、予定できるイベントではなく、「いつ起こるかわからない重大なアクシデント」に的を絞って備えることが最大のポイントです。

目的を広げすぎて無駄な出費が増えたり、本当に必要な保障が薄くなってしまってはもったいないので、しっかり見極めていきましょう。

必要な保障額とは?

生活を支える若いお父さんや、共働きのお母さんが万が一亡くなるような場合に、残された家族の生活を支えるのが保険の主な役割です。

まずは、万が一の出来事が今起きたと仮定し、「かかるお金」と「入ってくるお金」がどれくらいになりそうかを把握しましょう。

かかるお金

生活費、子どもの教育費、住居費、車や家電の購入(車があるなら駐車場代や維持費も)、将来使いたいお金などについて、それぞれ現在から将来までの年数(たとえば平均寿命や100歳まで等)で必要な金額を計算します。

入ってくるお金

遺族の収入や残されるお金には、勤務先からの死亡退職金、公的な遺族年金、遺族が働いて得る収入、家庭の資産、配偶者自身の老齢年金などがあげられます。

こちらも、それぞれ受け取れる年数分を計算し、合計します。

「かかるお金」から「遺族が得られる収入や貯蓄」を差し引いた金額が、民間の保険で補うべき額になります。

遺族年金について

民間の保険(必要保障額)を選ぶ時に、まず確認しておきたいのが公的な遺族年金制度です。

遺族年金は、家族の働き手が亡くなった場合に、残された家族を支える重要な収入源となります。

公的年金制度の本質は、貯蓄ではなく「保険」です。

  • 老後の生活を支える「老齢年金」
  • 病気やケガで働けなくなった時の「障害年金」
  • そして家族を亡くした時の「遺族年金」

こうした大きなお金が必要になる事態に備えて、みんなでお金を出し合って助け合うしくみです。

受け取れる遺族年金の金額は人によって異なりますが、「ねんきん定期便」で大体の金額を把握することができます。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、亡くなった方に生計を支えられていた子どもがいる配偶者、または子どもが受け取ることができます。

受給期間は、対象となる子どもが18歳になる年の年度末まで(障害1級・2級の子どもは20歳になるまで)です。

子のある配偶者が受け取るとき

受給額は「816,000円+子の加算額」です。(令和6年4月分から)

子が受け取るとき

「基本額+2人目以降の子の加算額」を、子どもの人数で割った金額が1人あたりの支給額になります。

基本額:816,000円

加算額
2人目まで:234,800円/人
3人目以降:78,300円/人

(令和6年4月分から)

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人(会社員など)が亡くなったときに支給される年金で、次のうち最も優先度の高い遺族が受け取ります。

  1. 子のある配偶者
  2. 子(18歳の年度末まで、障害年金1級・2級の場合は20歳未満)
  3. 子のない配偶者(30歳未満の妻は受給期間が5年間のみ)
  4. 父母
  5. 孫(条件は子と同じ)
  6. 祖父母

夫、父母、祖父母が受給する場合は、亡くなった時点で55歳以上であることが条件で、支給開始は60歳からとなります。

遺族厚生年金の受給額

受給額は「亡くなった時点での厚生年金額の4分の3」です。

厚生年金は報酬に応じて保険料が決まります。

基礎年金のように一律ではなく、年収が高い方ほど遺族年金額も高くなります。

また、厚生年金の加入期間が300月(25年)に満たない場合でも、最低300月加入していたものとして計算されます。

加入期間が短くても一定の保障を受けられるしくみです。

加えて、会社員の夫が亡くなった時に、次のどちらかに該当する妻には中高齢寡婦加算が支給されます。(夫にはありません)

  • 夫が死亡したときに40歳以上で子どもがいない
  • 遺族基礎年金の支給が終了した40歳以上の

加算額は年間約60万円、妻が65歳になるまで受給できます。

遺族年金にはいまだに男女差がありますが、解消に向けた制度改正が進められています。今後の動きもチェックしておきましょう。

加入中の保険を整理

必要保障額と遺族年金額がわかったら、次に加入している保険内容を一覧にして整理してみましょう。

保険は一覧にしておくと、「どんな時に、どれくらいの保障があるのか」が一目でわかるようになります。

見直しの予定がなくても、一度作っておくと便利ですよ。

「もし今起きてしまったら」と仮定して、それぞれの保険で得られる保障の総額を計算し、必要保障額と比べて過不足を確認しましょう。

医療保険やがん保険は、主な保障内容だけを簡単に記載すれば十分です。

また、保険料も世帯全体で年間どれくらいかかっているかを出しておくと、家計の見直しがスムーズになります。

必要な保険の選び方

「保険があると安心」ではあるけれど、あれもこれもと保険に入ると「お金」は貯まりにくくなってしまいます。

必要な保険をちゃんと選ぶなら、「もしそうなったら経済的にどうしようもない状況になるのか?」に焦点をあてて考えてみましょう。

また、保険が役立ちそうな「いざという時」の範囲を広げすぎないこともポイントです。

「お金」を準備する方法は保険だけではありません。

たとえば、短期の入院や手術、時間をかけて準備できる教育費や老後資金などは、貯蓄や資産形成で対応する方が合理的です。

貯蓄機能と保険機能を組み合わせた「お金が貯まる保険」は、コストがかさむうえ、資産形成としては中途半端になりがちで、あまりお得とは言えません。

保険は「重大なリスクへの備え」、貯蓄は「計画的な準備」と使い分けていきましょう。

損害保険の役割

家や車に関する損害保険も、リスクに備えるうえで非常に重要です。

たとえば、住宅が火災に遭ったり、車の事故で他人に損害を与えてしまった場合、補償額はとてつもなく大きくなる可能性があります。

こうした重大な事故に備えるのが、火災保険や自動車保険です。

損害保険がカバーする事故は「何も起こらなければよかった」と思うものですから、火災保険や自動車保険には「仕方なく入る」という感覚ではないでしょうか。

保険でお金を貯めるとか、返戻金をあてにするという気持ちにもなりにくいですよね。

この感覚こそ重要で、損害保険も生命保険も基本は同じ、「重大なリスク」だけに備えるものと割り切ると、本当に必要な保険を選びやすくなります。

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まとめ

住宅購入、結婚、出産などの大きなイベントや、家計を見直そうと思い立った時(たぶん今)は、保険をよく考えてみるチャンスです。

今の保険が必要十分な保障かどうかは、まずはライフプランを作って、これからのお金の推移を家計全体で確認するのがおすすめです。

遺族年金の計算や、必要保障額を出すのが難しい場合は、ライフプランソフトを使うと良いですよ。

ソフトを使用したシミュレーション例はこちらのページ(ライフプランについて)に掲載しております。

時間がない、めんどうで心が折れるなど、自力では難しい場合は、個別相談でお手伝いしますので、お気軽にお声がけください!