保険あれこれ

もしもの災害への備え|被災後の生活を守る地震保険について

地震への備えの一つとなるのが地震保険。被災して自宅や家財に損害を受けた時に、その後の生活を一定期間支えるための保険です。

地震保険は火災保険とセットで契約します。

任意の保険ですので、その必要性は個々に異なりますが、全国の平均をみると2023年度の付帯率(火災保険のうち、地震保険を付けている割合)は69.7%、世帯加入率(全世帯に対して、どの程度の世帯が地震保険を契約しているか)は35.1%となっています。

地震保険の特徴と、どんな時にその必要性が高まるのかをまとめました。

地震保険とは

地震保険は、「地震、噴火またはこれらによる津波」によって損害を受けた場合に保険金を支払う保険です。

たとえば、次のようなケースが対象になります。

  • 地震により火災が発生して家が焼失した
  • 地震により家が倒壊した
  • 津波で家が流された

地震などの大規模な災害は、被害が広範囲にわたり、民間の保険会社だけでは対応しきれないことがあります。

そのため、地震保険は、国と損害保険会社が共同で運営する制度で、国がバックアップするしくみになっています。

単独で加入できる地震補償保険とは、認定基準、補償内容などにおいて少し異なります。

火災保険とセットで加入

地震保険は単独で加入することができず、必ず火災保険とセットで加入します。

火災保険の契約時に地震保険を付けていなくても、契約期間の途中から後付けで地震保険に加入することも可能です。

ちなみに火災保険は、火災をはじめ、台風や落雷など様々なリスクに対応する保険で、建物や家財が損害を受けた時にその修理費用や再建費用を補償します。

ですが、火災保険では「地震」による火災や倒壊は補償されません

地震、噴火、津波による損害に対しては、別に地震保険が必要になります。

損害の原因火災保険地震保険
地震・噴火・津波×
上記以外×

また、地震保険は、被災後の生活を安定させるための資金を提供するもので、実際に被った損害をすべてカバーしたり、元通りの家を再建することを約束するものではない点も押さえておきましょう。

地震保険の対象になるもの

地震保険でカバーされるのは、居住用の建物(店舗併用住宅も含む)と家財です。

専用店舗、事務所などは対象になりません。

契約金額

火災保険の契約金額の30%~50%の範囲内

契約金額の限度額

建物:5000万円
家財:1000万円(30万円を超える貴金属、宝石などは対象外)

マンションは、専有部分と共有部分に分かれて構成されているため、それぞれで契約するのが一般的です。

  • 専有部分(室内、間仕切り壁、家財など)は所有者が個別に契約
  • 共有部分(玄関ホール、廊下、外壁など)はマンション管理組合が一括して契約

保険料と割引制度

地震保険の保険料は、建物の所在地や構造(鉄骨・コンクリート造か木造か)によって決まります。

保険会社による違いはありません。

保険料は、自然災害の発生状況やリスク評価の変化に応じて見直されることが多く、直近では2022年10月に改定が行われています。

年間保険料の例は次のとおり。震災リスクの低い地域と高い地域とでは、保険料に3倍ほどの差が生じています。

(日本損害保険協会HPより抜粋)

建物の免震・耐震性能に応じて、次のような割引制度も設けられています。

割引タイプ割引率
免震建築物割引50%
耐震等級割引10%~50%
耐震診断割引10%
建築年割引10%

割引制度のほかにも、長期契約や保険料の一括払いをすることで、保険料を抑えることができます。

支払われる保険金

地震保険では、損害の程度に応じて「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分で損害が認定され、それに基づいて保険金が支払われます。

ただし、次のような場合は保険金が支払われないことがあります。

  • 最も軽い一部損の認定基準に満たない
  • 門、塀、垣、排水設備、エレベーターなど、建物の主要部分に該当しない部分のみの損害

また、最初の地震発生から72時間(3日)以内に起きた地震は、何度発生しても1回の地震とみなされます。

たとえば、最初の地震で「一部損」となり、2後の地震で「全損」となった場合は、同一の地震として全損認定となります。

一方で、地震発生の翌日から10日が経過した後に生じた損害については、保険金が支払われません

損害認定等の注意点

被災時の損害認定は、一般の人には難しく、見た目には大きな損害がなくても、実際には損害認定されることもあります。

また、自治体が発行する罹災証明書等の判定と、保険会社による損害認定は、判定基準が異なるため必ずしも一致しません。

災害に関連して、「保険金を代わりに請求する」とか、すぐに工事が必要などと高額な修理を勧誘される、役所を名乗って義援金を集めるなどの詐欺も報告されています。

こうした不正に巻き込まれないように、被災した場合はまず加入先の保険会社や代理店に直接連絡し、損害確認や保険金支払いの手続きを進めていきましょう。

まとめ

地震保険は、万が一被災した場合に当面の生活を支えるためのお金を用立てるものです。

日本のどこに住んでいても、地震のリスクはある程度覚悟しなければなりませんが、加えて

  • 住宅ローンが多く残っていて、家を失った場合の経済的負担がかなり大きい
  • 被災後に生活を再建するための資金(貯蓄)が少ない
  • 被災後の収入減少が長期にわたる可能性がある

といった状況であれば、地震保険の必要性が高まります。

地震保険は、火災保険の契約期間中でも、途中で加入したり、解約することもできるので、定期的に見直してみると良いですね。