奨学金を活用するために|知っておきたいポイントと金利事情
さまざまな生活費が値上がり中、教育費も例外ではなく、家計における学費の負担は年々大きくなっています。
学生の2人に1人は何らかの奨学金を利用している昨今。
今回は、利用者が多い日本学生支援機構(JASSO)の奨学金についてまとめました。
奨学金についてざっくり
奨学金は、親ではなく「学生本人」が借りるお金です。
審査では家族の収入状況が考慮されますが、奨学金を借りて、それを返すのはあくまでも学生自身であることを押さえておきましょう。
奨学金には、卒業後に返還が必要な「貸与型」と、返還不要の「給付型」の2種類があります。
令和6年度、JASSOの奨学金を利用した学生は、貸与型が約94万人、給付型が約35万人でした。
高等教育機関の学生のうち、概ね3人に1人(32.2%)がJASSOの奨学金を利用している計算になります。
令和7年3月に貸与を終えた大学生の平均貸与総額と返還年数は次のとおりです。
| タイプ | 平均貸与額 | 平均返還年数 |
|---|---|---|
| 第一種奨学金 | 208万円 | 14年 |
| 第二種奨学金 | 336万円 | 17年 |
卒業の半年後から返還が始まり、毎月1~2万円を平均で15年程度にわたって支払うことになります。
返還不要の「給付型」奨学金
令和2年4月から「高等教育の修学支援新制度」が始まり、経済的に厳しい世帯を対象に、授業料等の減免と、返還不要の給付奨学金が拡充されました。
支援対象者の要件
- 住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の人(世帯年収の目安:約380万円まで)
- 一定の成績を修めている、または進学先で学ぶ意欲があること
給付型奨学金の支給額
第Ⅰ区分(住民税非課税世帯)の支給月額は次のとおりです。
| 大学・短大 ・専修学校 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|
| 国公立 | 29,200円 | 66,700円 |
| 私立 | 38,300円 | 75,800円 |
授業料等の免除・減額
給付奨学金の対象者は、上記の給付金とは別に、入学金と授業料の減額(または免除)を受けることができます。
第Ⅰ区分(住民税非課税世帯)の減免額は次のとおりです。
| 学校種別 | 国公立 | |
|---|---|---|
| 入学金 | 授業料 | |
| 大学 | 約28万円 | 約54万円 |
| 短期大学 | 約17万円 | 約39万円 |
| 高等専門学校 | 約8万円 | 約23万円 |
| 専修学校 | 約7万円 | 約17万円 |
| 学校種別 | 私立 | |
|---|---|---|
| 入学金 | 授業料 | |
| 大学 | 約26万円 | 約70万円 |
| 短期大学 | 約25万円 | 約62万円 |
| 高等専門学校 | 約13万円 | 約70万円 |
| 専修学校 | 約16万円 | 約59万円 |
毎年10月に、前年の所得をもとに支給額が見直されます。
大学以外の学校、第Ⅱ区分(年収の目安~約300万円)、第Ⅲ区分(年収の目安~約380万円)の支給月額、減免額等はJASSOホームページで確認してください。
給付型奨学金や授業料の減免を受けられるかどうかは、高校生のうちから確認しておくと、進学のときにスムーズです。

返還が必要な「貸与型」奨学金
貸与型には、無利子で借りられる「第一種奨学金」と、利子がつく「第二種奨学金」があり、両方利用することも可能です。
貸与月額について
第一種奨学金(無利子):学校の種類などによって、貸与月額の上限が決まっています。
第二種奨学金(利子あり):下表の範囲で、1万円単位で希望額を自由に選ぶことができます。
| 奨学金タイプ | 貸与月額 | |
|---|---|---|
| 第一種奨学金 無利子 【国公立大】 | 自宅通学 | 20,000~45,000円 |
| 自宅外通学 | 20,000~51,000円 | |
| 第一種奨学金 無利子 【私立大】 | 自宅通学 | 20,000~54,000円 |
| 自宅外通学 | 20,000~64,000円 | |
| 第二種奨学金 利子あり | 2万円~12万円の範囲で希望額を選択 | |
大学以外の学校など、くわしくはJASSOホームページで確認できます。
金利について
第二種奨学金の金利は、ここ数年で大きく上昇しています。
| 貸与終了年月 | 利率固定方式 | 利率見直し方式 |
|---|---|---|
| 令和3年3月 | 0.268% | 0.004% |
| 令和4年3月 | 0.369% | 0.040% |
| 令和5年3月 | 0.905% | 0.300% |
| 令和6年3月 | 0.940% | 0.400% |
| 令和7年3月 | 1.641% | 1.100% |
わずか2年ほどで、固定方式は0.9%台から1.6%台へ、見直し方式は0.3%台から1.1%台へと大きく上昇しました。「奨学金は超低金利だから利子は気にしなくていい」という定説は変わりつつあります。
貸与型奨学金の返還方法
奨学金の返還は、卒業後の翌月から数えて7ヶ月目から始まります。
返還方法は次の2種類です。
- 定額返還方式
毎月同じ金額を返済する方法です。
借りた金額に応じて、毎月の返還額と返還期間が自動的に決まります。 - 所得連動返還方式
前年の課税所得に応じて、返還額が変動します。
所得が高いと返還額が増え、その分返還期間が短くなりますが、低所得が続くと返還額が減らず、返還期間が長くなることがあります。

「収入の変動に合わせて、無理のない範囲で返したい」なら所得連動、「完済時期を確定させて、計画的に返し終えたい」なら定額、というイメージです。
第一種奨学金はこの2方式を選択できますが、第二種奨学金は定額返還方式のみとなります。
| 第一種奨学金 | 第二種奨学金 |
|---|---|
| 次のどちらかを選択 ① 定額返還方式 ② 所得連動返還方式 | 定額返還方式のみ |
返還パターン
毎月の奨学金の返還額や返還年数は、貸与された総額に応じて、最大で20年間の範囲内で決まります。
第一種奨学金(無利子)
- 定額返還方式
- 私立大学(学部/自宅通学)で月54,000円、4年間(48ヶ月)貸与を受けた場合
- 返還総額:2,592,000円
- 毎月返還額:14,400円
- 返還年数:15年
第二種奨学金(利子あり)
- 固定利率 1.641%(令和7年3月貸与終了者の場合)
- 学部で月80,000円、4年間(48ヶ月)貸与を受けた場合
- 返還総額:4,537,973円(元金3,840,000円+利息697,973円)
- 毎月返還額:18,907円
- 返還年数:20年
参考までに、令和5年3月貸与終了の場合(固定0.905%)と比べると、同じ借入額でも、返還総額は約32万円ほど増えていることになります。
延滞する前に!返還の救済措置
万が一、何らかの事情で返還できない場合に備えて、セーフティネット(救済制度)も押さえておきましょう。
- 減額返還制度
返還額を1/2や1/3に減額できる。(2024年度からは2/3、1/4も選択可能に拡充)ただし、その分返還期間は延びる。 - 返還期限猶予制度
事情があって返還困難な場合、返還期限を延ばして一定期間返還を停止できる。 - 死亡・心身障害による返還免除制度
ちなみに、延滞が続くと次のようなペナルティがあります。
- 期日までに返還されない場合
年3%の延滞金が加算される。 - 延滞3ヶ月目以降
個人信用情報機関に登録(ブラックリスト入り) - 延滞4ヶ月目以降
保証人への督促、返還期限が来ていない分も含めた一括返還を求められる、給与差し押さえなど
信用が損なわれると、クレジットカードや住宅ローンが利用できなくなる可能性も出てきます。「まずいな」と思ったら放置せず、早めにJASSOへ相談してみてください。
なお、令和6年度の新規返還者の返還率は97.2%と高水準を維持しており、大多数の方が約束どおり返還しています。きちんと相談すれば、深刻な延滞に至るケースはむしろ少数です。

奨学金の使い道について
奨学金の使い方は個人の自由ですが、次のように使われることが多いです。
- 入学金
- 授業料・施設設備費
- 生活費
- 教科書代
- 通学費
- サークル活動費
- 資格取得費
奨学金の支給時期と費用の支払い時期のズレには注意が必要です。
推薦や総合型選抜などで早めに進路が決まった場合、前年度(高3)の10月~11月には入学金を支払わなければならないケースもあり、進学先によっては、入学後に支給が始まる奨学金では間に合いません。
入学金を含め、入学時にかかる数十万円程度のお金は、奨学金以外の方法で前もって準備しておくと安心です。
民間や自治体等の奨学金
JASSO以外に、民間企業や団体、地方自治体なども奨学金を提供しています。
返還不要の給付型は総じて希望者が多く、狭き門ではありますが、意欲がある方は応募して損はありません。
さまざまな奨学金の募集が行われているので、在学中にチャレンジできる機会があるはずです。
奨学金情報サイト:ガクシー
就職先による代理返還制度
卒業後の就職先の企業が、従業員の奨学金を一部(または全額)肩代わりする「代理返還」を行っているケースもあります。
令和8年3月末時点で、全国4,800社以上がこの制度を利用しており、右肩上がりで増えています。(令和3年度は320社だったので、5年足らずで約15倍に拡大)
就職先を選ぶ際の一つのポイントになるかもしれませんね。
まとめ
長期にわたる奨学金の返還は、就職後の生活にも影響を及ぼします。
特に第二種奨学金は、以前に比べて金利が上がっています。「奨学金は超低金利だから安心」という時代から変わりつつあるんですね。
貸与型奨学金を利用する場合は、最新の金利をもとに、返還額や返還期間まで含めた「返す時」のイメージをしっかり持って検討しましょう。


