よもやま話

いつかやって来る「相続」に備える、ちょっとしたアドバイス

いつも近くにいて何やかやと会話をしている家族。

言うまでもなく「大切な人」の筆頭ですが、重要なことを常々きちんと伝えているかというと、そうでもないかもしれません。

心の準備的なところで、相続についてまとめてみました。

親と話せる時間はどれくらい?

親兄弟や夫婦だと、心配させたくないとか、言わなくてもわかっているはずとか、変な気遣いもお互いあったりして、大事なことこそ、そっと後回しにしていないでしょうか。

私の場合、ありありです。

親も子もいい年になれば、この先の相続のことが頭を過ぎりはするのだけど、それでもやっぱりやってしまう「そのうち、また今度」

以前、先輩相続診断士の吉田さんが言っていました。

二世帯住宅で親と暮らしているけど、玄関・お風呂・食事も別で、たまに玄関で会うと「久しぶり、元気?」くらい。
話をする機会なんてそうないよ。

計算すると、このペースだと、話ができるのはお父様が亡くなる(かもしれない平均寿命)まで、日数にしてたった30日だそう。残された時間は、10年で30日。

数字にすると、本当に限りある時間ということがわかります。

いつかは誰もが当事者に

「相続」は、自分はばっちり関係ある、もしくはまったく関係ナシ、のどちらかで捉えられることが多いようです。

  • 相続なんて考えたことがないけど、仲も良いし大丈夫なはず
  • うちは財産もないから関係ナシ

という声も多いですし、多少気になっても、話すタイミングはなかなかやって来ないテーマですよね。

だけど、実は私たち、誰もが人生において必ず1回か2回は、相続の「当事者」になります。

相続は、相続税という税金の問題だけではないから、ですね。

そもそも相続ってなに?

家族の誰かが亡くなると、その家族には「相続が発生」します。

相続とは「亡くなった人の財産を、残された家族が引き継ぐこと」なんですね。

その財産の多い・少ないに関わらず、望む・望まないにも関係なく、残された家族は直ちに相続劇場の登場人物、時には主人公になるのです。

相続財産について

持ち主がいなくなったもの(財産)は、形がないものも含めて、残された家族が引き継ぐことになります。

預貯金だけであればわかりやすいのですが、住んでいた家や土地、田畑、有価証券、車、趣味の美術品やゴルフ会員権など、うんと身近なものから「そんなのあったっけ?」というようなものまで、相続財産は多岐にわたります。

中には、分けにくいもの(住んでいた自宅など)や、引き受けたくないもの(借金や使い道のない不動産など)もあるかもしれません。

残された家族は、何も手続きをしなければ、亡くなった人の全財産をそのまま引き継ぐことになります。

プラスの財産も、マイナスの財産(いわゆる借金)もすべてです。

マイナスの財産は、時間が経ってから発覚することがよくあります。

相続しない場合の手続きには、3ヶ月という期限もありますので注意が必要です。

対策と手続きの違い

「相続対策」と「相続手続き」  

似たような言葉ですが、その内容はまったく違います。

亡くなった後は相続手続き

相続が発生した後、つまり家族の誰かが亡くなった後にするのが「相続手続き」です。

手続き期間【10ヶ月】の間に、たくさんの証明書を取り寄せ、関係各所に提出・申告し、相続税がかかれば納税まで済ませなければなりません。

家族が亡くなった後、書類を抱えていろんなところを巡って大変だったという話、聞いたことがありますよね。

相続手続きでよくあるトラブルは

  • 亡くなった人の預金口座からお金を引き出せない
  • 残された財産の分け方が決まらない(特に不動産が問題になりがち)
  • 納税資金が準備できない
  • 親族に協力的でない人がいる

こうなってしまうと、出来ることは対症療法しかありません。

残された誰かが大きな費用を立て替えたり、もつれた話を調整したり。

時間と労力、時には大きなコストがかかることがあります。

元気なうちに相続対策

一方、亡くなる前(元気でいるうちが理想)にすることが「相続対策」です。

具体的には、以下のようなことを家族に伝え、全員が同意している状態にしておくと安心。

  • 自分の財産や大切なものがどこにあるのか
  • 亡くなったらそれをどうしてほしいか
  • もめそうな火種はなくしておく

年齢が若くても、日頃から、預金や資産形成の口座はあまり数を増やさずに、在り処は一覧にしておくと良いですね。

相続の専門家サポート

相続には決まりごとがたくさんあり、そう頻繁に経験することでもないので、戸惑うことが多いのは当たり前です。

よくわからないことは専門家に任せるのが安心ですが、病院に内科・外科・耳鼻科・皮膚科と専門があるように、相続の専門家にもそれぞれ得意分野があります。

相続税なら税理士さん、法律的な書類作成や手続きは司法書士さん、すでにもめ事が起きているなら弁護士さん、などですね。

FPは手続きの実務を行う出番はないかもしれませんが、何から始めたら良いかわからない、全体的な目線で解決までの道筋を知りたい、といった状況には役立てるはずです。

まとめ

何もしなくても円満に相続できるご家庭もあれば、発生前から不穏な空気が漂う場合もあるでしょう。

その時がいつかは誰も知ることができないし、仮に何となくわかったとしても、相続にはいろんな規定があって、とっさの税金対策などはできないようになっています。

2023年の税制改正では、生前贈与のルールも厳しくなりました。

もし気になることがあれば、お気軽にお問合せくださいね。