ここ数年の高校卒業生(普通科)の大学・短大進学率は60%を超えています。
文部科学省「学校基本統計」によると、短大は減少傾向ですが、大学進学率は平成5年頃から飛躍的に上昇しており、特に最近は女性の上昇幅が大きくなっています。
高等教育となると、年間100万円超の授業料以外にも、自宅外通学の場合は部屋を借りたり、電化製品を揃えたり、毎月の生活費の支援など、少なくないお金が色々とかかってきます。
お子さんの教育プラン、大学進学が前提であれば、前もってお金と心の準備をしておきましょう。
授業料、仕送りなどの費用目安
大学等への入学から卒業まで、子ども一人当たりにかかる費用の目安は以下のとおりです。
受験にかかる費用(受験料・交通費・宿泊費等)、入学金、寄付金、入学しなかった学校への納付金など
授業料、通学費、教材費、施設設備費、塾にかかる費用など(1年あたりの金額を記載)
学校タイプ | 入学費用 | 在学費用 |
---|---|---|
専門学校 | 50万円 | 116万円 |
短大 | 73万円 | 137万円 |
国公立大 | 67万円 | 103万円 |
私大文系 | 81万円 | 152万円 |
私大理系 | 88万円 | 183万円 |
これに加えて、自宅を離れて一人暮らしを始める場合は、毎月の生活を支える仕送りも必要になりますね。授業料と同時にざっくり把握しておきましょう。
最初にかかる費用とは、一人暮らしに必要なアパート等の敷金、家具、電化製品の購入などです。
最初にかかる費用 | 仕送り額 |
---|---|
平均 38万円 | 年間平均 95万円 |
教育費の捻出方法(調査結果)
日本政策金融公庫・令和3年度「教育費負担の実態調査結果」から、教育費をどうやって捻出しているか等、いくつか気になる項目を抜粋しました。
教育ローンの借入理由を見ると、想定以上にお金がかかったことが上位になっています。
教育費の捻出方法
- 教育費以外の支出を削って節約している(28.6%)
- 子ども(在学者本人)がアルバイトをしている(21.6%)
- 奨学金を受けている(19.2%)
- 預貯金や保険などを取り崩している(18.8%)
節約している支出
- 旅行レジャー費(62.2%)
- 外食費(59.8%)
- 衣類の購入費(38.9%)
- 外食を除く食費(32.8%)
教育ローンを利用することになった理由
(親の事情)
- 貯蓄や預金でまかないきれなかった(51.9%)
- 収入が少なく不安だった(28.1%)
- 子どもにかかる教育費が予想以上だった(22.6%)
- 家賃や住宅ローン返済で毎月の支払いが大きかった(16.4%)
(子どもの事情)
- 高額な授業料がかかる学校を志望していた(46.7%)
- 自宅外通学が必要だった(27.8%)
- 長期間通う学校を志望していた(8.3%)
- 大学院などに更に進学することになった(7.0%)
進学にはいくらくらい必要か、それをどれくらいの期間で、月々どの程度貯蓄していけば良いのか?
闇雲に始めてしまうと「想定外」が起こってしまうかもしれません。シミュレーションを組んでみて、計画を立てて実行すると良いですね。
シミュレーションはFPの得意分野ですので、一人で悩んでしまうようなら、FPに相談することをおすすめします。
教育費の作り方
お金は子どもが小さいうちが貯め時、とよく言われます。
小さいなりにお金はかかるものですが、進学までの「時間」を味方に貯蓄計画を立てましょう。
支出の見直し
どこから捻出しようかなぁとお悩みであれば、まずは毎月確実に出ていくお金「固定費」を見直してみてください。
特に、保険料や習い事などは、本当にすべて必要でしょうか?
逆に、最初に取り組みがちな食費等は、月によってわりと変動があるものですよね。
できる時とできない時があるし、努力のわりに効果が一定ではないので、固定費の削減を優先、変動費の節約は補足的に考えると効率が良いです。
保険の見直し
子どもが生まれたら学資保険!というのが親の常識のように思われがちですが、少し見方を変えることで、無理なく固定費(保険料)の削減ができるかもしれません。
学資保険の必要性を再検討
学資保険は、15才・18才など、子どもの進学時期に合わせて、お祝金や満期金が出る保険です。
万が一、子どもが亡くなった時には死亡保険金(金額は少額)、親が亡くなった場合は、それ以降保険料を払わなくてよくなり、約束通り満期金は受け取ることができる商品です。
支払う保険料よりも、受け取る満期金の方が少しだけ多く、(ざっくり103%くらい、100万円が18年後103万円になるイメージ)、保障もついて安心!と人気のようです。
ただし、よくよく考えたいポイントがいくつかあります。
満期前の解約リスク
一つは、満期前に解約すると、支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこないこと。
だったら解約しなければいい!と結論づける前に、18年という長い時間の中で、急にお金が必要になる事態や、他にもっと良い商品が生まれる可能性は、織り込んでおくべきです。
携帯プランの2年縛りのように(こちらはほぼ改正されましたが)、解約したい時にペナルティがあるのはとても不自由で、利用者にとって何のメリットもありません。
保険機能が中途半端
二つ目は、保険の機能がさほど大きくないという点です。
親に万が一のことがあった場合、残された家族には、学資保険よりもはるかに大きなお金が必要になります。
学資保険はあくまでも教育資金準備と割り切るなら、親の万が一に備える保障は、それとはまた別に用意しなければならない・・・これではどんどん保険が増えていってしまい、保険貧乏になりかねません。
学校に進学する時期は、7歳・13歳・16歳・19歳になる年、などと生まれた時からある程度わかっています。
ある日突然お金が必要になるわけではなく、大体わかっている「〇年後」に向けて貯蓄していけばいいので、わざわざ保険商品で備える意味はないですよね。
「だったら普通の貯蓄で良いんじゃない?」という考え方です。
教育にお金が必要なことは変わりません。
でも、それを小さな保険とセットにする必要があるかどうか、ぜひ冷静に検討してみてください。
教育ローンについて
教育ローンは、親が契約者となって借りるお金です。
日本政策金融公庫が取り扱う「国の教育ローン」の概要は、以下のとおりです。
融資上限 | ・子ども1人当り350万円以内 ・自宅外通学、大学院、海外留学などの場合は450万円以内 |
返済期間 | 18年以内 |
金利 | 2.40%*(固定金利・保証料別) 固定金利のため、借入時の金利が完済まで変わりません |
年収上限 | 890万円* 世帯主のほか、配偶者等の収入(所得)も含みます |
- 2024年5月時点。金利は金融情勢により変動します。
- 子ども2人の場合。扶養する子どもの数、お勤め(営業)の年数、進学先等によって上限額が異なります。
日本学生支援機構の奨学金との併用ができ、受験費用は合格前から借り入れ可能です。
また、低所得世帯、ひとり親世帯、子どもが多い世帯などは、金利や返済期間の優遇制度があります。
教育ローン利用者のアンケートでは、収入が少ないことの他に、「教育費が予想以上だった」「自宅外通学が必要だった」「子どもが授業料の高い学校を志望した」等の事情も挙げられています。
後々返済しなければならないお金ですので、ひとまず経済的にできる範囲を知っておくこと、それをお子さんと共有することも重要です。
奨学金について
奨学金は、子どもが契約者となって借りるお金です。
返済不要の給付型と、将来返済しなければならない貸与型の2種類あります。
給付型は、家計基準や学業成績等を満たしたうえで、学校内で選考になる場合も多く、申込めば必ず受けられるというものではありません。
一方、貸与型は、基準を満たせば概ね利用することができ、金額も自分で選ぶことができます。(日本学生支援機構の場合)
例えば、毎月5万円の貸与型奨学金を受けた場合、大学4年間で240万円の「返さなければならないお金」を背負うことになり、返済は卒業の半年後から始まります。
返済が滞ると、将来お子さん自身が住宅ローンを契約する時などに影響が出る可能性もあります。
奨学金は原則「借りたお金」であって、社会人になりたての頃から返済がスタートすることを忘れずに、貸与額は慎重に決める必要がありますね。
高等教育の就学支援新制度
低所得世帯を対象に、2020年4月から高等教育就学支援新制度がスタートしました。
学校ごとの上限額まで、授業料・入学金の免除や減額を受けることができる制度で、月額3~7万円ほどの給付型奨学金(返済不要)も併せて支給されます。
ただし、学校ではしっかり勉強することが前提、成績次第で支援の打ち切りもあります。
詳細は、文部科学省のHPで確認ができます。
要確認!「いつ支払うか」のタイミング
学校に必要なお金は、支払時期を必ず確認しておきましょう。
例えば、推薦入試で合格した場合、入学は翌年の春でも、入学金は合格のタイミングで支払わなければなりませんので、高3の秋頃には入学金が必要になります。
入学する年の4月では間に合いません。
教材などは一旦支払ってから、後で補助金を申請するケースもありますので、お金はとりあえず必要と考えて、1年前には次年度分のお金が用意できているようなスケジュールを作ると良いですね。